研究課題
若手研究(B)
本研究課題では、言葉や音楽を理解するうえで不可欠となる、数百ミリ秒以内の時間間隔の知覚に関連する脳内処理を調べた。物理的には同じ時間間隔であっても、その時間間隔を一つの持続音の始まりと終わりで区切った場合(充実時間)と、二つの別々の短音で区切った場合(空虚時間)とで生じる「時間間隔知覚の不一致現象」に着目して実験を行った結果、物理的な時間間隔の100ミリ秒付近を境として、それよりも短い時間間隔と長い時間間隔とでは空虚時間に対する処理の仕組みが異なる可能性が示された。
認知科学
本研究課題では、音楽や言語などを用いた人間の聴覚コミュニケーションを支える基礎となる時間知覚の仕組みを明らかにするための重要なデータを得ることが出来た。厳密に統制した音刺激と心理物理学的な手法を用いて集めたデータの信頼性は高く、数十ミリ秒刻みの時間知覚の仕組みを浮かび上がらせることが出来た。この成果は、人間の日常生活を支える知覚メカニズムの解明に貢献すると考えられる。