研究課題
短期記憶によるヒト大脳皮質の物体カテゴリ表現を検証する目的で、既存の脳内カテゴリ表現の可視化手法の改良を行ない、言語の特徴空間を介して自然視覚刺激と脳活動の関係性を記述するモデルの開発を行った。この手法を応用して、脳活動から意味知覚内容を解読する脳情報デコーディング技術を開発し、成果が国際学術論文誌NeuroImageのオンライン版に掲載された。この技術を、株式会社NTTデータと共同で実施している、脳活動に基づく映像コンテンツ評価の商用サービスに実装することで社会応用を実現した。またこれまでの研究成果をまとめて、脳内意味表現に関する解説論文を執筆し、その論文が国内学術論文誌の人工知能に掲載された。短期記憶の脳内カテゴリ表現を調べるための実験として、自然な視覚映像を短期記憶に保持することを要求する実験課題を設計し、その課題を遂行中の4名の被験者からfMRIによる脳活動計測を行った。なお、この実験については、情報通信研究機構の倫理委員会の承認および個人情報取り扱いの専門委員会の審査を経たうえで、実験前に実験内容および個人情報の取扱について被験者から同意を得て実施した。この4名の被験者については、実際に自然な視覚映像を見ている際の、知覚に関わる脳活動も取得しており、その際の脳内カテゴリ表現を定量化するモデルが構築されている。そのモデルを用いて、短期記憶時に脳内で保持されている自然な映像を解読可能か確かめたところ、十分な精度で解読が可能であることが分かった。また、短期記憶情報の脳内局在について調べたところ、大脳皮質のカテゴリ選択領域のうち特に高次の領野における表現が使われていることが分かった。以上の結果から、短期記憶において自然な視覚イメージは知覚時と似た表現を持って脳内に保持されているが、その表現はより抽象的で高次なものになっている可能性が示唆された。
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https://researchmap.jp/s-nishida/