研究課題
本研究で,4Dライブセルイメージングデータ内の非常に多数の細胞を自動追跡するための基盤技術の開発を目指した.細胞動画像の典型的な特徴のひとつとして,多数の細胞が密に存在し視覚的に類似していることが挙げられる.このような動画像に対し標準的な追跡手法である粒子フィルタを利用した場合,本来追跡すべき細胞を別の細胞と誤認し追跡に容易に失敗する.この問題に対し,細胞の運動は近隣の細胞の位置や運動に依存するという空間的依存性に着目し,追跡のための補助的な情報としてこれを利用することで追跡精度の向上を目指した.本研究の意義は,追跡結果をもとに細胞運動の定量化を計算機で自動化することができ,提案手法を前提とした医学生物学の研究が期待できる点にある.例えば,線虫の個々の神経細胞の活性強度を蛍光タンパク質を利用することで視覚化することができるが,本手法が実現すれば,非常に多数の神経細胞の刺激に対する活性を経時的に定量化することができ,嗅覚などのさまざまな刺激をどのような神経活動ネットワークを利用して処理しているかという研究に応用可能である.課題研究を順調に遂行することができ,2年目終了までに高速かつ高精度で細胞の追跡を行うことのできるソフトウェアの開発に成功した.また,開発したソフトウェアを代表者のウェブサイトで配布した.最終年度である3年目には,研究結果をまとめた論文がIEEEの専門誌に掲載されることが決定した.
開発したソフトウェアの配布用ウェブサイト.
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
IEEE/ACM Transactions on Computational Biology and Bioinformatics
巻: 現在 Early access の状態.未定 ページ: 1-9
10.1109/TCBB.2017.2782255
https://github.com/ohirose/spf