乱択バイラテラルフィルタ,乱択DCTデノイジングおよびその他のエッジ保存平滑化フィルタの高速化の研究を進め,CPUやGPUによる実装やアプリケーションの実装による有効性の検証を行った. 乱択バイラテラルフィルタにおいては,モンテカルロ法,ラスベガス法の各場合で乱択する方法の証明を進め,より効率的にサンプリングすることが可能になった.また,乱択フィルタをSIMDやSIMTといったベクトル演算環境で実装するのにより適した実装方法を提案した.その手法は,画像を同一サイズにブロック分割して,各ブロックを1チャネルとする多チャンネル画像にデータを再配置することで,SIMD環境で発生するデータの連続性に起因する問題の抑制を行う.このデータ再配置法を一般化し,任意のFIRフィルタで高速なフィルタリングを実現する方法も研究した.これらは,CPUによるAVX実装・並列化やGPU実装により性能の検証を行った.またFPGAによる高位合成も試みた. 乱択DCTデノイジングにおいては,各パッチを計算する際に計算量をより削減するアルゴリズムを研究した.JPEGに用いられるポストスケール形のDCT変換であるAANをDCTデノイジングに適応し,加えて,共通するDCT変換を再利用することでパッチあたりの演算量を削減した. その他,決定的アルゴリズムのエッジ保存平滑化フィルタの高速化の研究として,計算のタイミングの一括化によるガイデットフィルタの高速化や,再帰型フィルタであるドメイントランスフォームフィルタのハイパースペクトル画像への拡張,非乱択の場合のカラーバイラテラルフィルタの高速化の研究を行った. エッジ保存平滑化フィルタのアプリケーションとして,ステレオマッチングの高速・高精度化の研究や高速な文字認識の実装を行い,高速なエッジ保存平滑化フィルタの有効性の検証を行った.
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