研究課題/領域番号 |
15K16033
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
上村 健二 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (80708090)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高精細ディスプレイ / 階調性 / 画像 / 色彩 |
研究実績の概要 |
モノクローム画像においては,高精細ディスプレイの4画素を束ねて利用することで,各画素8bitのディスプレイにおいても10bit相当の階調性が得られること,この際には隣接する画素間でのクロストークは考慮しなくても大きな問題とならないことが確認された。一方で,最大輝度値が変わるわけではないため,高輝度領域においては階調性拡大効果はほとんど得られず,明るい照明環境では効果が限定的になることがわかった。 ディスプレイ装置の特性,装置内部の画像処理の影響と考えられるが,低輝度領域において,4画素の表示パターンやコンテンツによってはモノクローム画像の一部が着色されているように見える現象が観測された。また,同じく低輝度領域において周期的なパターンを表示した際には,モアレ状のノイズが発生する場合もあった。現状では10bitの画素値に対して表示パターンは固定されており,また単純な輝度配置パターンを採用しているため,ディスプレイのガンマ設定によって不連続となる階調が存在している。一方で,中間調付近では同一画素値を生成できる4画素の組み合わせは複数存在するため,画素値に対するパターンを事前に複数用意し,変換時にランダム化することで前述の着色現象やノイズを抑制できないかと考えている。 モノクローム画像表示において着色現象が見られたが,これが人間の視覚特性で感じているだけ(物理的にはモノクロのまま)なのか,実際に色が付いているのかを色彩測定器で確認し,さらにディスプレイ毎の特性による差異があるのかについても,追加で数機種ディスプレイを評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モノクローム表示で着色される現象が観測される現象が発生したため,プログラムの不具合や装置の故障を疑って,1つずつ確認することで時間かかってしまった。また,輝度測定に用いた機材が故障してしまい,修理に1ヶ月程度を要してしまった。さらに,後期に入って測定等を実施していた学生が退学してしまったため,研究内容の整理,測定やプログラミングの再実行に大幅に時間を取られただけでなく,推進する人材不足におちいってしまった。 これらの予想していなかった事態の多発により計画より遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
本テーマに割り当てる学生を増員し,テーマ内の各要素ごとに小テーマを設定することで並列して推進することで遅れを取り戻す。 輝度測定等手動で実施していて時間がかかっている部分について,プログラムによる自動測定等を検討し,ここの作業の効率を改善する。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請金額と交付金額の差のため当初購入予定の全ての機材を導入するのは不可能だったが,申請時よりも販売されている機材の種類が増えたため,機種を再選定することで交付金額に十分おさまった。 一方で,研究の遅れによりいくつかの機材の購入は次年度でも問題なく,ディスプレイ等は発売から時期が経つほど価格が下る傾向にあるため,資金の有効利用のため次年度に持ち越した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度購入を保留した機材の購入を行う。また,28年度分として申請した機材が消費税増税に伴う市場価格変更で導入コストの微増が予測されることから,そちらの資金の充足に利用する。
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