研究課題/領域番号 |
15K16034
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
高松 誠一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 集積マイクロシステム研究センター, 研究員 (20635320)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 導電性ポリマー / イオン液体 / ウェアラブル / 無線 / 筋電計測 |
研究実績の概要 |
本研究は、スポーツやリハビリを行う被験者の筋肉の動きを長時間、配線に拘束されずに計測することを可能にするイオン液体ゲルと導電性ポリマーをコーティングした布状電極を用いたウェアラブル無線筋電計測システムの開発を行うものである。 筋電用計測アンプの設計試作について、アンプ回路の試作と動作確認を行った。さらに無線ICを用いたデータ送信実験の基礎実験を行った。アンプ回路については、差動アンプと無線端末からのノイズに対応したノイズカットフィルターを有する回路について設計試作した。 導電性ポリマーとイオン液体ゲルを用いた筋電用電極試作については、糸へのコーティング法については装置調整に時間がかかり遅れているが、布への直接塗布法により筋電計測実験を行った。イオン液体ゲルと導電性ポリマーを用いた電極により生体電気信号計測実験の結果から、イオン液体は蒸発しないため72時間以上の連続計測が可能であることが分かった。また、1か月後に再度同じ電極を用いることも可能であった。これらの長時間計測において、接触する皮膚への影響は見られなかった(ただし、実用に用いる場合には多くの被験者で確認する必要がある。)。これらの結果から、本研究の目的である長時間計測についてイオン液体ゲルを用いることで可能であることが分かった。また、試作した電極により筋電計測を行い微小な筋電位の計測が可能であり、さらに筋電への刺激も同じ電極で可能であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度は、筋電用計測アンプの設計試作についてはアンプ回路の試作と動作確認、さらに無線ICを用いたデータ送信実験の基礎実験を行った。アンプ回路については、差動アンプと無線端末からのノイズに対応したノイズカットフィルターを持つ回路について設計試作した。また、導電性ポリマーとイオン液体ゲルを用いた筋電用電極試作については、糸へのコーティング法については装置調整に時間がかかり遅れているが、布への直接塗布法により筋電計測を行った。試作した電極により筋電計測が可能であることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は、糸への導電性ポリマーとイオン液体ゲル塗布技術の確立を目指す。特にコーティングダイスの調整により膜厚制御と乾燥について最適化を行う。また、試作した電極を27年度に試作したアンプ回路、無線端末に接続し、無線での筋電計測を目指す。このとき、人が運動した場合に発生する電極と人の皮膚の間の接触状態によるノイズの発生が見込まれる。そのため、ノイズを解析し、イオン液体ゲルの塗布量の最適化とアンプ回路に含まれるノイズフィルターの最適化も合わせて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンプ回路、無線回路を外注により作る外注費とインピーダンス計測装置の購入を予定していた。アンプ回路や無線回路の設計と簡易な試作に時間がかかり、最終的に外注する回路構成の確定が遅れたため外注費を使用しなかった。また、イオン液体ゲルを用いた筋電計測が筋電信号計測だけでなく刺激にも使えることが分かり想定以上に進んだため、皮膚との間のインピーダンスを測る基礎的データを取る時間がなかったため装置購入が遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度にアンプ回路、無線回路の設計がほぼ終了したため、年初にアンプ回路、無線回路を外注により製作する外注費に用いる。また、電極が筋電計測に使用可能なことが分かったため、応用的な部分だけでなく基礎的な皮膚と電極間のインピーダンスを評価するためにインピーダンス計測装置を購入するために使用する。
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