研究課題/領域番号 |
15K16040
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
山本 豪志朗 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (70571446)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 拡張現実感 / ユーザインタフェース |
研究実績の概要 |
本研究課題では,人には知覚されにくく,コンピュータのみが検出可能なマーカ(知覚困難型マーカと呼ぶ)のディスプレイへの埋め込み及びその認識技術を開発し,実用化に向けた安定化手法を考案・実装する.ユーザの把持する携帯デバイスなどの位置姿勢推定はそのマーカに基づいて計算でき,ディスプレイに対する三次元空間に特化したインタラクション技法の基盤技術として期待できる.従来技術と比べ,非同期・表示映像低依存・民生機の使用の特徴を同時実現するという新規性の高い技術の開発を目指している.精度評価実験を通じて,ユーザが移動しながら利用する状況での動作限界やその有用性を確認する.また,光投影によって実空間中にマーカを配置するという発展的な課題にも挑戦し,基本アイディアの拡張を試みる. このような目的に対して,大きく次の三つの課題を掲げて研究を遂行する.(1) 頑強な知覚困難型マーカ実現に向けた動的コンテンツへの対応と徹底的な安定化手法の考案,(2) 実空間インタラクションにて生じる距離変化を考慮したマーカ開発,(3) 光投影による実空間中へのマーカ埋め込みに生じる問題解明と頑強なマーカ埋め込み手法. 初年度は基本技術である知覚困難型マーカの開発を進め,その安定化に着手した.ある 2 色を適切な速度で切り替えることによって人の目にはその中間色が知覚される(継時加法混色)一方で,コンピュータはその差分値を検出することが可能であるという点に着目し,人には知覚されにくい埋め込みマーカを実現した.映像コンテンツは現在のところ静止画という限定ではあるが,携帯端末側で事前にそのコンテンツを把握する必要はなく,コンテンツへの依存性が低いことを確認した.本手法での現状での問題点が明らかになってきたため,今後はそれらの解決も含めて研究を進めていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標であった内容は達成したと判断している.基盤となる技術を構築し,その結果を国際会議にて発表している.また,大学主催の学外イベントにおいても発表を行ったり,学外研究者とのプロトタイプシステムを使いながらのディスカッションも活発に行えた.このように目標に沿った研究成果を持ち,今後の研究の方針をさぐれたことから,順調に進んでいると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
主な問題点として,映像コンテンツが動画の場合,現アルゴリズムで動作する本手法はマーカの検出率が著しく低下することがわかっている.これに対して,問題の細分化・明確化を行うとともに,解決策を考案する必要がある.これと同時に,二年目の目標である「精度評価」および「距離に依存時にくいマーカの開発」を推進していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
二年目に実施予定の実験機器購入を目的としていたが,実験設計の詳細部分における内容の未決定に伴い,購入を延期しているため.
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次年度使用額の使用計画 |
実験計画に伴って機材を購入する予定であり,それらの経費に充てる.
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