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2016 年度 実施状況報告書

超大規模コーパスからの統計的知識獲得と構成論的記号計算の融合による句の類義性認識

研究課題

研究課題/領域番号 15K16045
研究機関東北大学

研究代表者

松林 優一郎  東北大学, 情報科学研究科, 助教 (20582901)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード概念構造 / 項構造解析 / 類犠牲認識 / 分散意味論 / 選択選考モデル / 文章生成
研究実績の概要

本年度の研究においては、実応用に即した句の意味計算技術の構築を目標として、以下の三つの課題を進めた。
(1) 述語の項構造解析:実際の意味解析技術である述語項構造解析において、前年度に行った最先端のシステムにおける現状の問題点の分析結果にしたがい、計算モデルの改善を行った。具体的には、ニューラルネットワークを用いたモデリングにより、これまで人手により設計されていた特徴量の組み合わせ方法を自動学習する手法と、これまで記号的に表現されていた特徴を数値ベクトルとして表現する手法の導入により、これまでの解析手法と比べ、大幅な性能改善を得た(松林,乾 2017)。
また、このモデルをさらに発展させ、文中の複数の述語に対して、比較的単純な構造を持つ項を事前に分析し、その情報をより複雑な構造を持つ項を特定するための事前情報として用いる計算モデルについて開発を進めた。
(2) 項の選択選好モデル: 句の類似性モデルの構築作業の一部として、述語とその項となる名詞の間の意味的な関係を表現する選択選好モデルを題材として、単語の分散表現にもとづく句の意味表現モデルを用いて、述語と項の組み合わせに関する妥当性や意味的な類似性を表現する計算モデルを構築し、その成果を国際会議論文として報告した(Inoue, Matsubayashi, et al., 2016)。
(3) 意味の類似性を考慮した文章構造解析モデル:句の意味の類似性や文脈上の一貫性を計算する技術に関する応用研究の一環として、歌詞における文章構造を題材として、類似するフレーズの分布に基づいて構造の切れ目を判定することで、歌詞のみの情報から楽曲におけるAメロ、Bメロ、サビ等の音楽的境界を認識する技術を構築した(Watanabe, Matsubayashi, et al., 2016)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

述語の項構造中心とした意味の計算モデル、及びその実応用課題についてそれぞれ概ね本年度計画に沿った成果を出せている。
研究成果の対外発表も順調であり、言語処理分野で国内最大規模である言語処理学会での発表および、3件の国際会議発表を行った。研究発表においては、1件の優秀発表賞を受賞した。

今後の研究の推進方策

本年度の研究において、日本語の実応用的な意味解析においては、特に省略された項を解析する技術の改善が今後の深刻な課題であることが浮き彫りとなった。このため、来年度は研究計画を一部変更し、省略解析技術の改善を中心に据え、意味計算モデルの構築を進める。
特に、人間が文章読解において行う、文脈理解に必要最小限の自然な省略補完をモデリングすることを念頭に、複数人の人手によるコーパスアノテーション結果に基づく省略補完の分析及び、計算モデルの開発を行う。

次年度使用額が生じた理由

本年度の研究において、日本語の実応用的な意味解析においては、特に省略された項を解析する技術の改善が今後の深刻な課題であることが浮き彫りとなった。このため、来年度は研究計画を一部変更し、省略解析技術の改善を中心に据え、意味計算モデルの構築を進めることとした。これに伴い、本年度予定していた類義表現計算の評価作業にかかる人件費を繰越し、より自然な省略補完を実現するための訓練評価用コーパスの構築にかかる人件費に当てることとした。

次年度使用額の使用計画

変更後の計画においては、人間が文章読解において行う、文脈理解に必要最小限の自然な省略補完をモデリングすることを念頭に、複数人の人手によるコーパスアノテーション結果に基づく省略補完の分析及び、計算モデルの開発を行うこととしている。この際に必要な人手によるコーパスアノテーションのための人件費として使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 3.3 述語項構造解析2016

    • 著者名/発表者名
      松林優一郎
    • 雑誌名

      情報処理

      巻: Vol.57, No.1 ページ: 14-15

  • [学会発表] ニューラルネットワークによる日本語述語項構造解析の素性の汎化2017

    • 著者名/発表者名
      松林優一郎, 乾健太郎
    • 学会等名
      言語処理学会
    • 発表場所
      筑波大学(つくば市)
    • 年月日
      2017-03-14 – 2017-03-16
  • [学会発表] LyriSys: An Interactive Support System for Writing Lyrics Based on Topic Transition2017

    • 著者名/発表者名
      Kento Watanabe, Yuichiroh Matsubayashi, Kentaro Inui, Tomoyasu Nakano, Satoru Fukayama and Masataka Goto
    • 学会等名
      Annual Meeting of the Intelligent User Interfaces Community
    • 発表場所
      Limassol, Cyprus
    • 年月日
      2017-03-13 – 2017-03-16
    • 国際学会
  • [学会発表] Modeling Context-sensitive Selectional Preference with Distributed Representations2016

    • 著者名/発表者名
      Naoya Inoue, Yuichiro Matsubayashi, Masayuki Ono, Naoaki Okazaki and Kentaro Inui
    • 学会等名
      International Conference on Computational Linguistics
    • 発表場所
      Osaka International Convention Center, Japan
    • 年月日
      2016-12-13 – 2016-12-16
    • 国際学会
  • [学会発表] Modeling Discourse Segments in Lyrics Using Repeated Patterns2016

    • 著者名/発表者名
      Kento Watanabe, Yuichiroh Matsubayashi, Naho Orita, Naoaki Okazaki, Kentaro Inui, Satoru Fukayama, Tomoyasu Nakano, Jordan B. L. Smith and Masataka Goto
    • 学会等名
      International Conference on Computational Linguistics
    • 発表場所
      Osaka International Convention Center, Japan
    • 年月日
      2016-12-13 – 2016-12-16
    • 国際学会
  • [図書] 小川芳樹, 長野明子, 菊地朗 (編), コーパスからわかる言語変化・変異と言語理論, Part V2016

    • 著者名/発表者名
      福原裕一, 松林優一郎, 乾健太郎
    • 総ページ数
      423-442
    • 出版者
      開拓社

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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