動的に変化する環境での提携形成アルゴリズムに関して,平成28年度も平成27年度に引き続き,マッチング理論に関する研究を行った.マッチング理論では,プレイヤー (参加者,エージェント) が男性/女性,学生/学校,医者/病院,労働者/企業などのように2種類の異なるグループに分かれ,それぞれを如何に割り当てるかを考察している.この問題は,作ることのできる提携が限定されている状況での提携形成と考えることができ,プレイヤーが学生/学校であれば学校選択制,研修医/病院であれば研修医マッチング制度などの,社会的に重要な問題・制度に適用可能な問題である. マッチング理論における動的な問題として,割当の再配置が考えられる.学生/学校のマッチングを例にすると,初期割当が存在し,学生の選好が変化した場合に,変化した選好に対応するように新たな割当を求めるアルゴリズムを考察した.この問題に対して,既存のアルゴリズムであるDeferred AcceptanceおよびTop Trading Cyclesを拡張したアルゴリズムを開発し,提案アルゴリズムが上記の条件を満たすとともに,戦略的操作不可能性やある種の安定性を満たすことを示した.この成果は,国際会議15th International Conference on Autonomous Agents and Multiagent Systemsで発表し,国際論文誌Artificial Intelligence に投稿中である. また,簡略な表記法を用いた提携形成アルゴリズムに関する成果をまとめて,国際論文誌Autonomous Agents and Multi-Agent Systemsに投稿中である.
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