研究課題/領域番号 |
15K16072
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
工藤 俊亮 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90582338)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 柔軟物操作 |
研究実績の概要 |
本研究では,従来のロボットでは操作が難しかった紙に対して,能動的に紙の状態をセンシングして扱うための「アクティブセンシング」という概念を提案し,ロボットによる高度な紙の扱いを可能にすることを目指している.本年度は,アクティブセンシングに関する手法の開発に特に焦点を当てて研究を行い,結果として,目標に掲げた3種類の折り操作の一つである「袋折り」に成功した.アクティブセンシングに関する手法としては,まず視覚フィードバックを用いながら徐々に二つの頂点位置を合わせる「位置合わせ」の手法を開発した.これによって,特に頂点どうしの重ね合わせで記述される公理2に基づく折り作業を精度よく実行することが可能になった.次に折り紙をずらすことによって紙と紙の隙間を広げる「ずらし動作」の手法を開発した.これによって,従来は位置の正確な認識すら難しかった紙の隙間に対して,効果的に位置を認識して指を挿入することが可能になった.また,紙操作に関する新たな手法として,あらかじめ紙にクセをつけてそのあとの操作を実行しやすくするための「クセづけ」を開発した.紙の操作においては,折りそのものは単純であっても,紙の座屈等の予測不能な紙のふるまいにより操作が成功しない場合がしばしば起こりうる.クセづけによって紙の変化する方向を強制的に決めてしまうことによって,そのような操作の成功率が格段に向上する.これらの結果を要素技術として利用することによって,ロボットによる袋折り作業が実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は,視覚フィードバックの導入および紙操作の認識に関する研究を行い,本研究の目指す高度な紙操作の研究を行うための基礎的な技術の開発を行った.本年度はその結果を踏まえ,本格的にアクティブセンシングの手法および新たな紙操作の手法について研究を行った.具体的には,アクティブセンシングの手法として,視覚フィードバックに基づく反復操作により徐々に二つの頂点位置を合わせてゆく「位置合わせ」と,紙をずらすことにより紙の隙間広げて安定した認識・操作を実現する「ずらし動作」を開発した.また紙操作の手法として,あらかじめ紙にクセをつけて変化する方向を強制的に決めてしまうことによって紙の予測不能な変化を抑制する「クセづけ」を開発した.これらを要素技術として用いることによって,「袋折り」を実現した.これは本研究で目標としてあげていた3種類の折り操作の一つであり,研究は概ね順調に進展していると評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,残る目標である「中割り折り」と「かぶせ折り」の実現を目指す.そのためには,すでに存在する折り目と逆方向に折る操作や折り目をいちど広げる操作など,これまでの方法では対応できない操作が必要となる.それらに必要な紙の認識・操作手法の開発を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新たなロボットハンドの開発を計画していたが,研究を進めるうちに現時点では既存のハンドの部分的改良で十分であることが判明した.一方,当初は安価なカメラで十分であると想定していた入力装置について,より性能の高い装置が必要であると判明した.このような当初の計画からの状況のズレによって生じた差額が,次年度使用額となった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は,当初の計画ではロボットハンドの開発に今年度使用する目的のものであった.次年度の研究においても,新たなアクティブセンシング手法および紙操作手法の開発においてハンドの改良・開発は不可欠となるため,使用年度は異なるものの,本来の目的に沿って次年度の研究においてハンドの改良・開発のために使用する予定である.
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