本研究は、多種多様な動作の共通知識を利用する模倣学習手法を開発するとともに、クラウドロボティクス基盤による動作と対話の学習を実現することを目的とする。 初年度は、動作の予測問題に対し、Dynamic Pre-trainingを導入したDeep Neural Networkに基づく手法を構築し、標準データセットを用いて有効性を検証した。学術的成果としては、人工知能分野の最高峰ジャーナルであるArtificial Intelligenceに成果を発表した。また、クラウドロボティクス基盤Rospeexの高速化に取り組んだ。 第2年度は、生活支援ロボットHSRに基づく実験プラットフォームの構築に取り組み、スマートフォンを介した音声対話により日常タスクを指示可能とした。成果の実証として、1万種類以上の消耗品の知識について音声対話が可能なシステムの展示を行った。学術的成果としては、模倣学習、実世界知識に基づく音声対話、クラウドロボティクス基盤の構築、に関する解説論文を計3件執筆した。 最終年度は、生活支援ロボットの主要タスクである物体操作において、変化する状況に応じてユーザの命令を理解し、対象物体の尤もらしさを推定するマルチモーダル言語理解手法Latent Classifier GAN (LAC-GAN) を開発した。並行して、LAC-GANの水平展開を行った結果、太陽フレア予測タスクやマニピュレーションタスクにおいて、識別率を向上できることを示した。また、コミュニティ先導活動の一環として、ロボカップ2017世界大会において生活支援ロボットHSRによる標準ベンチマークテストを開始した。 期間全体を通してRospeexの社会展開活動を進め、5万ユニークユーザを達成するとともに、Rospeex用に開発した合成音声を複数の企業・研究機関にライセンシングした。
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