研究課題/領域番号 |
15K16080
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
緒方 洋輔 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任助教 (60641355)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 単純接触効果 / fMRI / 好感度評価 / 脳機能デコーディング / ニューロフィードバック |
研究実績の概要 |
今年度は、本研究計画の仮説である、脳内可塑性変化の誘導によりもたらされた脳活動の変化が、好意度の変化を引き起こすという事象の因果性について、前年度に引き続きニューロフィードバック実験環境構築と予備実験とそのデータ解析を中心に行った。ニューロフィードバックのタイミング制御の構築に時間を要したものの、更に2名分の予備実験データを取得することが出来、仮説上の脳内関心領野である線条体・眼窩前頭野・後部帯状回の活動をフィードバックすることによる脳内可塑的変化と好意度の変化の関連性を調べた。予備実験の結果からは、ニューロフィードバックが確実に好意度変化を引き起こすとは言い切れないという結果であったが、実験の前半・後半などで効果量にやや違いがあったことからフィードバックのタイミングを個々人で変動させる事が必要になる可能性が示唆された。同時に発展研究として、脳波による時間解像度の高いニューロフィードバックを行うために、好意度の根幹となる要因である快ー不快および覚醒ー鎮静状態のデコーディング実験も行った。結果として、先行研究で行われていた単純な二値判別のみでなく、精度はまだ低いものの回帰分析を用いて段階的な快ー不快度及び覚醒ー鎮静度を脳波から読み取ることに成功している。これに関しても継続して実験を行い、脳波によるフィードバック実験を行うことで研究を発展させる予定である。また、前年度得られた、好感度の逆となる不快感・イライラ感を評価可能とする脳部位の同定については成果をまとめ、国際学会にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が主たる業務として参画している大型の産学官連携プロジェクトの遂行において、度重なるプロジェクト内の計画変更や実験実施のため、半年以上の期間に亘り多くのエフォートを割くことが必要になってしまったことが遅延の1つの要因である、また、所属機関に設置されているMRI装置の度重なる不調により、実験が満足に行うことが出来なかったことも要因の1つとして考えられる。しかし、予備実験の結果からはニューロフィードバックのタイミングなどの重要性も明らかになり、研究の発展性は大きく広がっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策として、所属機関のMRI装置のリプレースがあるために早急な実験環境の変更・構築が必要になるため装置が導入され次第早急に取り掛かり、継続して予備実験・本実験に移行して遅れを取り戻す予定である。さらに、データ解析の手法も深層学習などの近年とみに発展している機械学習アルゴリズムを導入することで、さらなる解析を行っていくことで発展性の拡張を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は研究計画のうち環境構築の最適化と、解析用ハードウェア・ソフトウェアの導入を行ったため物品費に多くの支出があったが、MRI装置の移行に伴い環境を再構築する必要が出たため残りの物品費は次年度に全て使用する。 また、人件費に関しては脳機能デコーディング・ニューロフィードバック実験の予備検討・予備実験は長時間の拘束を必要とするため、まず研究室内の同僚にボランティアでの実験参加を要請したため、今年度の使用は行っていない。これに関しては、本実験を行う次年度に全て使用する予定である。また、旅費に関しては今年度・次年度共に成果発表及びニューロフィードバック・脳機能デコーディングに必要な、近年発展の目覚ましい機械学習分野のシンポジウム・研究会参加による旅費の使用が増える可能性がある。
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