研究実績の概要 |
「顧みられない熱帯病」などの感染症向け創薬で問題となる創薬標的タンパク質選定のための技術開発を行った。 代表的な寄生原虫症であるシャーガス病の病原体のTrypanosoma cruziのゲノム上にコードされた全タンパク質である10,339タンパク質に対して、ホモロジーモデリングを用いて立体構造予測を行い、既知構造との間で配列の相同性が存在した3,456タンパク質について予測立体構造モデルを構築した。これによって立体構造情報を参照しての選定が可能となった一方で、参照可能な情報が増えすぎ、利用者にとって逆にシステムが使いにくくなるという問題が発生したため、標的選択を効率化する手法を開発した。これは利用者に少数のタンパク質セットから、標的として好ましいタンパク質を選択してもらい、その情報を利用してランキング学習や適合性フィードバックを用いることでランク予測モデルを構築し、全タンパク質をランク付けして利用者にとって望ましいタンパク質を自動的に抽出するものであり、4回程度のフィードバックで上位のアイテムについては0.9を越える適合率を達成した。 また、これらのシステムを創薬研究者が寄生原虫の株間の変異情報を立体構造上で確認し,その影響を判断できるように選定を支援するWebシステムと共に既に公開されているiNTRODBの一部として実装することで、インターネットとWebブラウザを用いてのシステム利用を可能とした。
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