本研究の目的は、タンパク質とリガンドの結合親和性を予測する計算法の正確度向上である。そのために、プロトン化状態が異なる立体配座を、一度に複数発生させることができる分子シミュレーションを利用した手法を考案し、本手法の有用性について検討した。 モデルタンパク質を対象とした計算実験では、プロトン化状態を変えない従来法と比べて、本手法では結合親和性の予測値が大きく異なり、様々なプロトン化状態を計算に取り入れたことに伴う影響が確認された。ただし、この予測値は実験から求めた値と比べて依然としてずれがあり、例えばプロトン化状態を考慮すべきアミノ酸残基数を絞るなどの工夫が、正確度改善のために必要と推察された。
|