研究課題/領域番号 |
15K16090
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
森田 武史 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (50590171)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オントロジー / Linked Data / セマンティックWeb / オントロジー学習 / クラススキーマ |
研究実績の概要 |
本研究では,特に英語ナレッジグラフからクラススキーマ階層を構築することを目的とする.これまでに,日本語Wikipediaからオントロジー(JWO)を自動構築し,日本語WordNetと統合することにより,クラススキーマ階層を構築する手法を提案してきた.本研究では,英語ナレッジグラフ(DBpediaおよびYAGO)に先行研究で提案した手法を適用する.クラススキーマ階層の(半)自動構築を試みている研究は,国内外の関連研究には見受けられないため,独創的であると考えられる.本研究で構築するクラススキーマ階層は,ナレッジグラフを活用した質問応答システム,ドメインオントロジーを構築するための参照リソース,ナレッジグラフの推論を用いた意味検索等への活用が期待できる. 平成29年度は,JWOのオントロジー構築手法を英語版Wikipediaに適用し,英語版Wikipediaオントロジー(EWO)の構築をさらに進めた.また,YAGOやDBpediaなど,既存のWikipediaから構築されたオントロジーやナレッジグラフと提案手法で構築したEWOを様々な観点から比較し,その特徴や有用性を明らかにした.この成果については,国内研究会や国際会議で発表を行った.ナレッジグラフを活用した質問応答システムについては,自然言語の質問文からナレッジグラフのクエリ言語であるSPARQLに変換する手法について検討した.さらに,JWOの応用例として,音声対話システムからJWOを活用する方法についても検討した.ロボット喫茶店における注文時に,お客の多様な質問に対応できるように,対話ルールからJWOにおけるリソースを取得できるようにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英語版Wikipediaオントロジー(EWO)の構築はおおむね予定通りに進んでおり,YAGOやDBpediaなど,既存のWikipediaから構築されたオントロジーやナレッジグラフと比較し,その特徴や有用性も明らかになってきた.また,JWOやEWOの応用に関する研究も同時に進めており,質問応答システムや音声対話システムとの連携方法についても,検討が進んでいる.EWOについては,クラススキーマ階層構築や様々なプロパティタイプの同定まではできていないため,最終年度は,これらの階層や関係構築に注力していきたい.同時に,JWOやEWOにおけるクラススキーマ階層の活用方法についても,引き続き,検討していきたい.
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今後の研究の推進方策 |
英語版Wikipediaオントロジー(EWO)に対するクラススキーマ階層構築とDBpedia+YAGOに対するクラススキーマ階層構築を中心に,今後は研究を進めていく予定である.研究を遂行する中で出てきた新たな課題として,クラススキーマ階層のように,複数リソースを統合することで構築されたオントロジーやナレッジグラフの評価指標(ベンチマーク)が存在しないことがある.今後,構築したクラススキーマ階層の有用性を客観的に示すために,評価指標の開発も行っていきたい.また,近年,TransEなど,ナレッジグラフの補完に関する研究が注目されている.しかしながら,現状のナレッジグラフの補完に関する研究は,オントロジーや補完される知識が推論により導出可能であるかどうかなどは,あまり考慮されていない.本研究では,ナレッジグラフの補完に関する手法をクラススキーマ階層構築に適用したり,オントロジーや推論を考慮したナレッジグラフ補完の手法も検討していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
大規模多言語RDFグラフを対象として,クラススキーマ階層を構築するために,想定以上のマシンリソ ースや処理時間を要したため.期間延長を行い,大規模英語RDFグラフに特化して,クラススキーマ階層の構築と洗練を行う.成果発表の旅費等に助成金を用いる予定である.
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