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2015 年度 実施状況報告書

定量情報が不十分な上流設計段階でのサービス品質評価を実現する定性シミュレーション

研究課題

研究課題/領域番号 15K16093
研究機関首都大学東京

研究代表者

木見田 康治  首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (60632495)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードサービス設計 / 定性シミュレーション / 製造業のサービス化 / Product-Service Systems
研究実績の概要

一般的に,効率的な設計を実現するためには設計の早期段階からシミュレーションを行い,設計解を評価することが有効な手段の一つであるが,サービスにおいては,不確実性の高い設計解に対してナイーブな推論を適用しつつ当該サービスに関する意思決定を行うことが特に求められている.ここでいうナイーブな推論が求められる理由としては大きく次の3つが挙げられる.①設計の早期段階においては,設計に関わる多くの情報が未決である.②サービスは人的要素を含むために,その提供時の品質には製品以上のばらつきが生じる.③サービス化による事業性を判断するにあたっては,従業員満足度が高まることによりサービスの提供品質が上がるというような定量化が困難なだけでなく,十分な形式化が成されていない評価が極めて属人的に行われている.
以上を踏まえて本研究では,設計者が当該サービスに対するナイーブな推論に用いる知識の再利用性を高めることにより,より実践的かつ効果的にサービス設計を支援することを目指す.そのために,本研究では,サービス事業への移行過程をモデル化する手法を提案する.これに供する手段として,情報が不足している場合においても要素間の因果関係を定性的に関連付けることでその大まかな振舞いを導出する定性シミュレーションの概念を適用した.IT企業におけるサービス化事業を対象とした事例検証を行った結果,定性シミュレーションを用いることで,次の3点の有効性が確認できた.
①人的要素を数多く内包し不確実性の高いサービス事業のモデル化に対して一定の表現能力を有すること
②定量化が困難で,十分な形式化が成されていない事象の振舞いを導出可能であること
③知的な作業を要する定性的なモデリングとシミュレーション結果による挙動確認を繰り返し行うことで,当該サービスに対する理解を深めることが可能であること

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

[当初の計画]
「a. サービス構造の記述手法:サービス品質に影響する要素その結合を記述する手法」,「b. 因果解析手法:要素間の因果関係を定性的に解析する手法」,「c. 挙動推定手法:サービスの振る舞いを定性的に解析する手法」,「d. サービス品質の定性評価手法:サービス品質を定性的に評価する手法」を明らかにすることで,サービス品質評価のための構造モデル・挙動推定手法・定性シミュレーションを研究成果として発表する.
[進捗状況]
H27年度は,定性的なモデリングとシミュレーションにより,企業がサービス事業へ移行する過程を導出した.具体的には,汎用モデリングツールを用いてIT企業におけるサービス化事業を対象に定性シミュレーションモデルを構築し,当該サービスの挙動推定を行った.その結果,人的要素を数多く内包し不確実性の高いサービス事業のモデル化に対して一定の表現能力を有することと,定量化が困難で十分な形式化が成されていない事象の振舞いを導出可能であることを確認した.しかしながら,品質評価に関しては設計者の属人的な解釈に依存している部分が大きく,解釈を支援するための方法が求められる.
また,以上の研究成果を,機械学会の部門講演会やThe 3th International Conference on Serviceology (ICServ 2015)などの国内外の会議で発表した.

今後の研究の推進方策

H28年度は,下記に示す2つの研究項目を明らかにすることで,サービス品質設計のためのシミュレーション技術とそのモデルを研究成果として発表する.
[サービス構造モデルと設計モデルとの対応関係]申請者らが既に開発しているサービスの設計解を記述するモデルと,H27年度に確立した構造記述手法との対応関係を明らかにする.これにより,設計モデルからシミュレーションモデルを作成する作業や,シミュレーション結果をもとに設計モデルを修正する作業を効率化する.
[サービス設計の効率化に対する有効性]上記の研究成果を実装したシミュレータを開発し,実際のサービス事例に適用することでサービス設計の効率化に対する有効性を明らかにする.具体的には,実際のサービス事例に対して,開発したシミュレータを用いた改善設計を行う.この改善設計の過程を手戻りや工数などの観点から分析することにより,サービス設計の効率化に対する有効性を明らかにする.

次年度使用額が生じた理由

事例に関するデータを無償で入手することができ,事例に関するヒアリングの謝金が発生しなかったため.

次年度使用額の使用計画

事例に関するヒアリングを実施し,その謝金を計上する.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] サービス現場教育のための従業員参加型の技能構造化プロセス2016

    • 著者名/発表者名
      木見田康治, 渡辺健太郎, 三輪洋靖, 下村芳樹
    • 雑誌名

      精密工学会誌

      巻: 82 ページ: in-printing

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 定性シミュレーションを用いたサービス化プロセスのモデル化手法2016

    • 著者名/発表者名
      森下佳樹, 村上芙美香, 木見田康治, 下村芳樹
    • 学会等名
      2016年度精密工学会春季大会学術講演会
    • 発表場所
      東京理科大学
    • 年月日
      2016-03-15 – 2016-03-17
  • [学会発表] Qualitative Simulation for Early-Stage Service Design2015

    • 著者名/発表者名
      Y. Morishita, F. Murakami, K. Kimita, S. Hosono, S. Izukura, H. Sakaki, E. Numata and Y. Shimomura
    • 学会等名
      the 9th International Symposium on Environmentally Conscious Design and Inverse Manufacturing (Eco Design 2015)
    • 発表場所
      Tokyo, JAPAN
    • 年月日
      2015-12-02 – 2015-12-04
    • 国際学会
  • [学会発表] 定性シミュレーションに基づくPSS事業評価のモデル化手法2015

    • 著者名/発表者名
      村上芙美香, 森下佳樹, 木見田康治, 細野繁, 沼田絵梨子, 伊豆倉さやか, 榊啓, 下村芳樹
    • 学会等名
      第58回自動制御連合講演会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2015-11-14 – 2015-11-15
  • [学会発表] 定性シミュレーションを用いたPSSビジネスモデルの設計手法2015

    • 著者名/発表者名
      森下佳樹, 村上芙美香, 木見田康治, 細野繁, 沼田絵梨子, 榊啓, 伊豆倉さやか, 下村芳樹
    • 学会等名
      日本機械学会第25回設計工学・システム部門講演会
    • 発表場所
      信州大学工学部
    • 年月日
      2015-09-23 – 2015-09-25
  • [学会発表] PSSビジネス設計に対する定性シミュレーションの適用2015

    • 著者名/発表者名
      村上芙美香, 森下佳樹, 木見田康治, 細野繁, 沼田絵梨子, 伊豆倉さやか, 下村芳樹
    • 学会等名
      2015年度精密工学会秋季大会学術講演会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2015-09-04 – 2015-09-06
  • [学会発表] Qualitative Simulation for Early-Stage Service Design2015

    • 著者名/発表者名
      Y. Morishita, F. Murakami, K. Kimita, S. Hosono, S. Izukura, H. Sakaki, E. Numata and Y. Shimomura
    • 学会等名
      the 3rd International Conference on Serviceology - ICServe2015 -
    • 発表場所
      San Jose, U.S.A
    • 年月日
      2015-07-07 – 2015-07-09
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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