研究課題/領域番号 |
15K16097
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
浦田 真由 名古屋大学, 情報学研究科, 講師 (70634947)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オープンデータ / 官民データ / 行政情報 / 市民コミュニティ / 地域活動 / 生涯学習 / 防災 / 観光 |
研究実績の概要 |
本研究は,市民コミュニティの視点から新たなオープンデータの利活用を検討し,行政や民間が保有する情報のオープンデータ化を推進している.特に,自治体におけるオープンデータ推進への受容性を向上させることを目的として,地域課題解決を目指した実践研究に取り組んでいる. 平成29年度は,地域活動や生涯学習といった実社会におけるオープンデータの具体的な利活用を模索するため,ワークショップやイベント等を開催し,オープンデータを活用したアプリケーションやシステムの実証実験を実施することで,利用者による評価を行った.検討会や会議等によるフィードバックをもとにシステムのカスタマイズを行い,各コミュニティの特性に適した形を模索した. 具体的には,主に以下のオープンデータ利活用の取組みを実践した. ・愛知県尾張旭市において,避難所のオープンデータを用いた防災啓発アプリを開発し,市民活動を実践する市民のための機能を追加した.防災委員やPTAを対象としたワークショップ開催することで,その評価を行い,結果を尾張旭市職員へフィードバックすることで,オープンデータ推進を実践した. ・宮崎県小林市において,地域の魅力を収集・活用するための写真投稿システムを構築し,地域の魅力を収集するイベントを開催した.投稿された写真はオープンデータとして自由に活用できるようにすることで,収集された魅力の拡散や利活用を促すようにした. ・名古屋市科学館においてオープンデータとして公開しているライブカメラの星空の写真を用いて,星の見やすさを判定し通知する「星空速報システム」を開発し,評価実験によって,有用性を確認するとともに,画像オープンデータの新たな活用方法を提示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,オープンデータを用いた「システムの実証実験と評価」を主なテーマとして実施してきた.具体的には,前年度に引き続き,愛知県内を中心とした各自治体や名古屋市科学館との連携により,オープンデータ推進を実践し,当初の研究目標はおおむね順調に進展している. 尾張旭市や小林市などのより具体的なオープンデータの活用事例は,自治体におけるオープンデータ推進への受容性向上を達成するのに有効であり,広域連携によるオープンデータ推進やより具体的な課題解決へ向けた取組みに繋がってきている. 昨年度に引き続き,愛知県尾三地区では「7市町オープンデータ検討会」を開催し,オープンデータのフォーマットや形式の統一化を行った.半田市においては,「オープンデータ活用推進会議」を,一宮市においては,「ICT活用ワーキンググループ」の会議を設置し,アドバイザーとして参加している.自治体でのICT利活用における一つの方法として,オープンデータ推進が受け入れられてきており,活用サービスや事例を他の自治体へ横展開していくことが重要だと感じている.
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ,研究の推進に大きな問題はなく,今年度も当初の計画に沿って研究を遂行していく予定である.平成30年度は,実際にシステムを運用するために必要な体制や組織について検討を行い,継続的に市民がオープンデータを利活用できるようにする.また,アプリケーションの利用者に対するメリットを自治体に提示することで,情報公開側となる行政職員のモチべーション向上につなげ,行政や民間におけるオープンデータの推進を図る.また,広域連携でのオープンデータ推進にも繋げ,本研究成果を一つのモデルとして,他の自治体やコミュニティにも横展開していく. 具体的には,昨年度と同様,東海エリアの各自治体との連携を深め,オープンデータ推進を実践し,オープンデータの活用事例を増やしていく.特に,これまではオープンデータ推進の担当課を中心とした取組みを行ってきたが,今後は観光や防災,広報などの担当課へのオープンデータ推進を実践する.地域課題解決のためのより具体的な事例を増やしていくことで,オープンデータ推進への受容性向上を達成していきたいと考えている.
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