本研究は,市民コミュニティの視点から新たなオープンデータの利活用を検討し,行政や民間が保有する情報のオープンデータ化を推進した.特に,自治体におけるオープンデータ推進への受容性を向上させることを目的として,地域課題解決を目指した実践研究を実施した. 平成30年度は,最終年度として,自治体と連携することで実社会におけるオープンデータの具体的な利活用を推進した.オープンデータを活用したアプリケーションの実証実験を行い,情報公開側のモチベーション向上につなげ,オープンデータ推進を図った.また,一つの事例を成功モデルとして横展開し,複数の自治体でのオープンデータ推進に繋げることができた. 具体的には,主に以下のオープンデータ利活用の取組みを実践した. ・愛知県尾張旭市において,避難所のオープンデータを用いた防災啓発アプリを開発し,尾張旭市の防災訓練で一般市民に対してアプリを公開し,利用評価を行った。また,尾張旭市での成果をもとに,愛知県尾三地区(5市町)を対象として,防災啓発マップを開発した.5市町が提供する避難所オープンデータをもとに,その他必要となった,防災資機材の情報のオープンデータ化を進め,オープンデータ公開に繋げた. ・愛知県尾張旭市において,ごみ出し情報のスマートスピーカーアプリ(スキル)を開発し,ごみ出し情報のオープンデータ公開に繋げた.また,春日井市においても,同様のごみ出しスキルを紹介し,企業に引き継いでもらうことで,実際の市民サービスに繋げることができた. ・愛知県半田市においては,観光情報のオープンデータや,写真のオープンデータ,半田市観光協会が提供するイベント情報を用いた,スマートスピーカースキルを開発し,実際に半田市の施設にスマートスピーカーを設置し,市民に利用してもらう実証実験を実施した.
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