研究課題/領域番号 |
15K16099
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
河村 俊太郎 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 講師 (90733410)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大学図書館 / 歴史 / 東京帝国大学 / 助手 |
研究実績の概要 |
本研究は、東京帝国大学の部局における知識基盤が部局組織とどのような関係にあったのかについて、蔵書と助手を中心に検討し、日本の学問的知の知識基盤の成立を明らかにすることを目的としたものである。今年度の実績は、主に二つに分かれている。 ひとつめは、図書館に注目しつつ、東京帝国大学の学問的知の形成について検討したことである。学問的知は、大学全体で共有されるものとして形成されず、東京帝国大学独自の形で形成されていったことが明らかとなった。この成果は、図書館文化史研究会2015年度研究集会にて「図書館との関係からみた東京帝国大学における学術的知の形成」として発表された。 ふたつめは、経済学部の助手に関する研究、回顧録等から、助手の経歴、専攻、学部で助手に与えられた役割を明らかにし、その上で、それらと4つの要素と購入された蔵書がどのように関係していたかを検討したことである。4つの要素とは以下の通りである。(1)日本の経済学の動向、(2)図書館などの部局の施設が物理的にどこにおかれ、制度上どのように位置づけられていたのか、(3)教授と助教授という助手以外の教官がどのような経済学の分野を専攻し、経歴、専攻はどうであったのか、(4)教授、助教授が図書館をどのように利用し、図書館をどのような組織として位置づけていたのか。経済学部は、大学の機能である教育と研究のうち、研究の役割を強く持った助手が置かれている学部であった。そういった役割を助手が持っていることで、蔵書構成などの図書館の管理にどのように影響していたかを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの検討では、図書館にウェイトを置きすぎていたため、十分に図書館が知的基盤として提供する研究教育成果としての学問的知について扱うことができなかった。そのため、東京帝国大学図書館と助手の関係について検討する前に、まず東京帝国大学において図書館を通じてどのように学問的知が形成されていたのかについて調査する必要が生じ、当初の計画を遅らせることになった。だが、この調査によって図書館と助手の関係について、研究教育成果の在り方を含めたより幅広い視点から検討することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、今年度検討した経済学部における図書館と助手の関係についての研究を発表する。その上で、工学部について、まずは助手を取り巻く環境と、助手の経歴、専攻についての調査を行い、その後工学部図書室の蔵書について調査を行う。そして、経済学部と同様に図書館と助手の関係を明らかにしてく。
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