研究課題/領域番号 |
15K16100
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研究機関 | 相模女子大学 |
研究代表者 |
池下 花恵 相模女子大学, 学芸学部, 講師 (50709847)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 公共図書館 / 児童サービス / 読み書き障害 / 情報アクセス |
研究実績の概要 |
公共図書館における読みやすい図書の利用は,読み書き障害(dyslexia)のある子どもが図書を通じて文化や情報へアクセスできる機会を拡大する可能性がある.本研究では,公共図書館において読み書き障害のある子どもが利用可能な図書や読書環境の整備の向上を目的とし,読み書き障害のある子どもが読書しやすい図書館モデルを検討する.平成27年度は,(1)国外の公共図書館における読書しやすい図書館モデルの適用の可能性,(2)日本の公共図書館における読み書き障害のある子どものための児童サービスの現状,を調査した.(1)では,オランダおよびベルギーの公共図書館において,現地調査および教育サービス担当の図書館員にインタビュー調査を行った.インタビュー調査では,読み書き障害のある子どもへの具体的な読書支援の方法,学校図書館との連携,電子図書の利用や情報通信機器を活用した支援方法について調査した.その結果,調査対象の公共図書館では,特定の子どもを対象とした読書支援ではなく,障害の有無に関わらず,全ての子どもが活用できる読書しやすい図書館モデルを構築していることがわかった.図書館内の環境整備では,子どもが読書を楽しむためのスペースの確保や,目的の図書をすぐに見つけやすいような陳列方法が取り入れられていた.(2)日本の公共図書館における児童サービスでは,視覚障害のある子どもへの支援が中心であり,読み書き障害のある子どもへの支援は,十分ではない可能性があることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国外の公共図書館における児童サービスおよび図書館モデルに関する計画は順調に実施できた.しかし,国内における公共図書館の児童サービスの現状に関する計画は,やや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,平成27年度の調査結果に基づき,国内の公共図書館における読み書き障害のある子どものための児童サービスのあり方について(1)公共図書館における合理的配慮,平成27年度の継続課題として(2)国内における公共図書館の児童サービスの現状,(3)読書しやすい図書館モデルの適用の可能性,を検討する.最終的に,公共図書館による読み書き障害のある子どものための児童サービスの充実に向けた図書館モデルの提案を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた国内の調査において,一部実施できなくなったため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
前年度の繰越分は,今年度の国内調査旅費に充当する予定である.
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