研究課題/領域番号 |
15K16102
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
吉見 憲二 佛教大学, 社会学部, 講師 (10570054)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域コミュニティブランド / ブローカレス理論 / 創発 / 地域活性化 / 地域情報化 / 広報動画 / ビジネスモデルコンテスト / クラウドファンディング |
研究実績の概要 |
2015年度は地域コミュニティブランド(以下、SCB)の各プロジェクトに関するフィールドワークとインタビュー調査を中心に展開し、「nunotech(布テク)」(群馬県桐生市)、「宮崎県立小林秀峰高等学校」(宮崎県小林市)、「熊本競輪活性化ビジネスモデルコンテスト」(熊本県熊本市)、「ヴォルターズch」(熊本県熊本市)、「SCB放送局」(熊本県熊本市)の5つのプロジェクトを主に取り上げた。「nunotech(布テク)」は地域の伝統産業、「熊本競輪活性化ビジネスモデルコンテスト」は地域の公営競技、「ヴォルターズch」は地域のスポーツチームをそれぞれ対象としており、他地域への応用が広く考えられるものであった。また、「宮崎県立小林秀峰高等学校」のプロジェクトは話題になった動画「ンダモシタン小林」の続編動画を地元の高校生が制作するといった取り組みであり、世間一般からの注目度も高かった。「SCB放送局」はSCBの手法により運営されている放送スタジオで、SCBのプロジェクトを含めたさまざまなアクティビティが実施されている。 本研究を通して、こうした異なる特徴を有する5つのプロジェクトに共通の要素を検討し、SCBの共通ルールにおける「専門家集団・技術者集団を積極的に活用」や「コミュニティ、共感、繋がりを可視化」といったコンセプトの有効性が示唆された。共通ルール全体の受容の程度はプロジェクトごとに温度差はあったが、本研究の目的である「『理論』をベースにした地域活性化・情報化モデル」については概ね肯定的な反応が見られている。ただし、今回は特に成果を挙げているプロジェクトを対象にした定性的な調査であったため、次年度の計画を通して定量調査を含めた更なる検討が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り地域コミュニティブランドの5つのプロジェクトにアプローチすることができており、特に「専門家集団・技術者集団を積極的に活用」、「コミュニティ、共感、繋がりを可視化」という面で共通ルールの有効性が示唆された。実施上の優位点・課題についてはいずれも人的ネットワークに関連した言及がなされているため、この点については次年度に継続して取り組む予定である。学会/研究会での発表は期間中に2回行っているものの、論文化についてはやや遅れている。そのため、平成27年度実施事項に関する論文の掲載を引き続き目指す。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画通りに進めていく予定であったが、熊本県を中心に発生した大地震の影響で継続した現地調査が著しく困難な状況となっている。当面は九州以外の地域のプロジェクトに優先して取り組むが、震災の影響が長期化した場合には計画の変更を余儀なくされる可能性がある。しかしながら、一部のSCBのプロジェクトでは活動を既に再開しているため、様子を伺いつつ、なるべく計画通りに進められるように努力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請者の所属の変更があり出張費の支出の見通しが不明瞭だったこと、取り上げたプロジェクトの1つが話題になった動画の続編制作ということもあって計画よりも宮崎県小林市への出張回数が増えたことから予定していたPCの購入を取り止め出張費の不足が出ないように調整した。結果的に動画制作の課程を詳細に把握することができ、制作に関与した地域出身のプロのクリエイターの方へのインタビュー調査につながった。
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次年度使用額の使用計画 |
熊本県を中心に発生した大地震の影響で計画通りの研究の遂行が難しいと考えられるため、訪問先の変更等の経費の変動に対応するために使用する予定である。また、短期間での成果の取りまとめを余儀なくされる可能性もあるため、必要に応じてアルバイト等の人件費に使うことも含めて検討したい。
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