研究課題/領域番号 |
15K16106
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
上之薗 和宏 青山学院大学, 情報メディアセンター, 助教 (70638535)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 映像コンテンツの視聴状況の分析 / 講義配信における再生開始時間の自動検索 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,「(1) 既存の講義コンテンツの利用に関する先行研究・事例の調査」ならびに「(2) 動画ファイルから発話認識・シーン分割,OCR処理をするモジュールの設計」を主として行い,「(3) (2)で得られた各情報に,構文解析・意味解析・画像解析を行う」に対する予備調査を順次行いつつ,(2)の修正を行う予定であった。本年度は、主に(1)について活動を行った。 (1)については,応募者が所属している青山学院大学附置情報メディアセンターで提供している2013年度から2015年度までに収録した、映像コンテンツ総数は3325,総時間は約2100時間、累計視聴回数は45474回,総視聴時間は約18280時間であった。これらの情報を分析した結果、応募者が立てた2つの仮説について、特定の講義についての視聴が、コンテンツの平均視聴時間、平均視聴回数共に高い水準であるが、そうではない講義については15回の講義を通しても、累計で数回、数分、特に映像の先頭から10~20%の時間しか視聴されないことが確認できた。これは、仮説Bが成り立つことが想定されるが、当初予定していた、授業担当教員、視聴すべき履修者に対するアンケートを実施することができなかったため、成立するか確認することができなかった。 (2)については,(1)では応募者が立てた仮説が検証できなかったが、応募者がすでに提案している、学習者の理解状況を把握するためのモデルである、拡張オーバーレイモデルに基づいて同定された学習者の不得意分野について、その分野を説明するための知識を2016年3月5日の教育工学研究会にて、学習者が視聴すべき映像コンテンツの再生開始時間の自動検索を行う学習システムの提案として口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
応募者は、学習者がe-Leaning上で、特にオンデマンドで映像コンテンツを視聴できる学習環境において、仮説A)「学習者は,視聴できる膨大な数のコンテンツの中から,自分が視聴すべきコンテンツを探し当てることができない.」仮説B)「学習者は,教授者の設計した授業計画にて指示されたコンテンツしか視聴しない.」の2つの仮説を立てており、これを、実際に授業収録をしている担当教員、履修している学習者に対して、アンケート調査を行う予定であったが、本学における授業収録・映像配信サービスの主な利用目的を、申請書に記載の理由や、ヒヤリングによって確認したところ、想定するような、単位や資格の習得のために、映像コンテンツを振り返りつつ、繰り返し視聴するような講義を選出することに時間がかかり、アンケート実施するに至らなかった。 しかし、仮説が成立するしないにかかわらず、映像コンテンツの、学習者が視聴したいシーンを検出するためのシステムについては、その意義が認められるため、その設計について行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,所属する青山学院大学附置情報メディアセンターが主催する,資格取得を目的とした各種講習会と,いくつかの学部1年次の必修科目について,前年度行えなかった,アンケート調査を行い,2つの仮説が成立するか確認を行う.また,音声認識,OCRを利用して,字幕ならびに,出現キーワードのタイムライン化を行う.字幕については,自然言語処理を行い,文字列としてではなく,その文が文脈上でどのような重要度を持つかを算出する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度では,所属大学における調査が中心であったため,調査用の旅費の使用が少なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
成果発表の機会が少なかったため,平成28年度では,成果発表を積極的に行い,情報の発信,収集に努める.
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