これまでの知見として,A「学習者は,視聴できる膨大な数のコンテンツの中から,自分が視聴すべきコンテンツを探し当てることができない.」B「学習者は,教授者の設計した授業計画にて指示されたコンテンツしか視聴せず,それ以外のコンテンツの視聴に対するモチベーションがない」の2つの仮説を立てた.青山学院大学においても,毎年大量の映像コンテンツが制作,配信されているが,その視聴状況から,最初の10&から20%の視聴数は多くそれ以降ほぼ0になる傾向に加え,視聴権限をもつユーザ数(受講生)に対して,実際に視聴を行ったユニークユーザ数が数%にとどまることコンテンツと,90%以上のユニークユーザが視聴しているコンテンツとがあることを確認した.これについては,講義に対する映像資料が,授業振り返りと就職活動等による欠席者対応であることが主な理由である. これら現状を確認したうえで,映像コンテンツの画像情報からOCRで得たテキストデータと,発話データをタイムライン化し,該当の講義のシラバスから得た講義情報とを併せ,is-a関係に基づく,学習単元に相当するカテゴリを説明する知識体系の各ノードへのマッチングを行う計画であった.別途システムで同定された学習者の不得意分野・不得意カテゴリを,この知識体系から検索し,そのノードに存在するコンテンツ群からそのカテゴリに対する適合度によってソートされたコンテンツリストを提示する. しかし,タイムライン化するための処理を行う時間を十分に得ることができず,現状を把握するにとどまっており,それ以上の研究成果を上げることができなかった.
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