福島原発事故により放出された放射性セシウムについて、沈着直後の土壌中の初期深度分布がどのように決定するのかは未だ明らかにされていない。そこで、2011年から日本原子力開発機構(JAEA)主導で実施されている広域的な深度分布モニタリング調査地60地点を中心に、土壌の詳細な分析を行い、その拡散・浸透プロセスを検討した。その結果、放射性セシウムの平均移動距離Half depth (cm)と飽和透水係数の間に弱い正の相関が認められた。一方、化学的な諸性質との間には明確な傾向は認められず、初期分布は、セシウムの吸着能を左右する化学性よりも水の浸透性などの物理性の影響が大きいことが示された。
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