本研究では近年急速に拡大する北極域の氷河氷床表面の暗色化現象に注目し,その原因とされる暗色不純物(鉱物と微生物)および黒色炭素(煤)を分析した. その結果,グリーンランド北西部では周辺の堆積物に由来する鉱物が氷河表面の暗色化に大きく寄与しており,日射の吸収を通じて氷河の融解を促進している可能性を明らかにした.さらに,電子顕微鏡観察の結果から,北極広域積雪中の黒色炭素観察の形態情報をはじめて明らかにし,その起源・輸送プロセスや光吸収特性が地域によって異なる可能性を示した. 以上,本研究の成果から,氷河上の暗色物質の供給プロセスおよび暗色化拡大メカニズム解明の理解が進むことが期待される.
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