研究課題
次世代シーケンサーを用いて、放射線がゲノムDNAに与える損傷の種類と頻度を直接計測することを試みた。1細胞に84 mGy, 390 mGy, 1885 mGyのγ線照射を行いその細胞を培養して増殖させてからDNAを抽出し全ゲノムシーケンスを行った。解析の結果、10 kbp以上の大きな欠失は数個に限られ線量依存的な増加も見られなかった。1塩基置換では390mGy,1885mGyのγ線照射で置換に増加傾向が見られており、1885mGyとコントロールを比較すると1Gyあたり0.6個/Mbp程度の増加が推定された。小さな挿入欠失は1885mGyで増加傾向にあった。細胞への突然変異実験としてリンパ球細胞に放射線照射をしてHPRT遺伝子座の変異を見る実験が知られており、変異頻度として14.25 x 10-6 mutants/Gy (Mognato M et al. 2001)や12.35 x 10-6 mutants/Gy (Kumar PR et al. 2006 ) などと報告されている。HPRT遺伝子座のサイズ(1415 bp)からすると10-8bpオーダーでHPRT遺伝子が機能欠失の変異が入っていると推定される。我々の系では機能欠失に関連しない変異がほとんどであることや細胞系の違いなどから直接の比較は難しいが、エクソン上の変異の内1/10程度が機能欠失に関与したとすれば近い値となると推定された。また、塩基置換の種類についてはMasumura et al. 2002らの報告ではG,C → T, A に変異するtransversionがγ線照射変異の特徴とされているが、我々のデータからはそういった傾向は見られなかった。
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