福島県の3つのダムにおいて、溶存態・懸濁態Cs137の年間収支を算定した。その結果、流入水に比べて放流水の溶存態濃度の低下速度が鈍くなるような傾向が見られ、底質が溶存態Cs137のソースとして機能している可能性があることがわかった。次にダム底質を用いて、NH4濃度を調整した模擬湖水を加えて振盪溶出試験を行った。その結果、高温・高NH4濃度条件下でCs137溶出が多く、想定される環境条件下で、底質はCs137のソースとして十分機能することが確認された。以上より、今後のダム湖流域でのCs137挙動の予測にあたっては、放流水の継続的な観測と、実環境条件下での底質からのCs溶出挙動の評価が重要である。
|