令和元年度はX線照射後の老化誘導時におけるオートファジー関連タンパク質(LC3、ULK1、Ser638リン酸化ULK1、p62、Ser403リン酸化p62)の発現変動をWestern blottingにより調べた。本研究は老化誘導初期だけでなく、中期や後期における老化細胞の生理的状態を探るため、照射後30日までのタンパク質発現量を調べた。ULK1は照射直後から30日まででコントロールと比べて発現量の変化は見られなかった。一方、リン酸化ULK1の発現量は照射後1~2日に減少し、その後はコントロールレベルまで上昇したが、10日以降は再び減少を示した。p62及びリン酸化p62はコントロールと比べて発現量の変化は見られなった。続いて、オートファゴソームに直接結合するLC3の発現量は、それぞれの実験でデータが大きくばらつき、結果を導くことができなかった。データのばらつきの原因を検討したところ、X線照射後の培地交換のタイミングが原因である可能性が考えられた。オートファジーは細胞自身の栄養状態が活性に大きく影響するため、培地交換のタイミングによっては照射によるオートファジー活性の変化が見えづらくなることが予想される。現在は、低血清培地を用いて細胞を培養し、照射後の培地交換の時期を固定するなどして実験を行っている。
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