研究課題/領域番号 |
15K16140
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大坂 侑吾 金沢大学, 機械工学系, 助教 (70586297)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ゼロエミッションフィルター / 乾式脱硫 / 大気圧非平衡プラズマ |
研究実績の概要 |
乾式脱硫フィルターの低温域における性能向上を目指して,脱硫フィルターへの大気圧非平衡プラズマ重畳効果の明確化のため,本年度は,非平衡プラズマで生成が予測され酸化性の強いオゾン導入効果を実験的に確認した. 排ガス組成成分は,水蒸気,二酸化炭素,酸素のほかに窒素酸化物(一酸化窒素,二酸化窒素)を新たに導入して,脱硫のみでなく,脱窒効果の有無も確認した.結果,オゾン非導入時では,一酸化窒素に関しては,脱硫性能に対して,阻害因子とはならなく,また,一酸化窒素をフィルターが捕集することもなかった.一方,二酸化窒素に関しては,吸収初期では,二酸化硫黄より選択的に捕集されることで,脱硫性能の阻害因子となったが,吸収後期には,二酸化窒素が置換され捕集率80%の段階では阻害因子としては認められないことが明らかとなった.これは,超深度脱硫においては,阻害因子として考えなければならないが,総量捕集が必要な条件では阻害因子とはならないことを意味する. オゾンを導入すると,二酸化硫黄が酸化促進されることから,窒素酸化物共存下においても脱硫性能が大きく向上した.またオゾン導入により,二酸化窒素の同時捕集も可能であることが明らかとなった.これは,大気圧非平衡プラズマを導入することにより,低温度条件カでも脱硫性能を向上させる効果のほかに,窒素酸化物も同時捕集するゼロエミッションフィルターの可能性を示す非常に有意義な結果を得た.次年度は,組成はプラズマ重畳方法などを検討し,脱硫脱窒メカニズムのさらなる詳細評価を実施予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,計画にのっとって,大気圧非平衡プラズマ重畳効果を確認するため,オゾンを導入による脱硫フィルター試験を実施した.これまでの自作の脱硫フィルター性能評価試験装置に新たに,排ガス分析成分を窒素酸化物にまで拡張することで,硫黄酸化物捕集性能に与える窒素酸化物の影響を評価可能となった.オゾンを導入することで二酸化硫黄の捕集だけでなく,窒素酸化物も同時除去可能であることを明らかにした.これは,オゾンを導入しない条件では,起こらない現象であり,脱硫性能を向上させるだけでなく,ゼロエミッションフィルターとしての可能性を見出した結果である.本結果を踏まえて次年度以降も計画通りに実施可能であることから現在の研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度でオゾン導入により,二酸化硫黄のみではなく二酸化窒素の捕集も可能であることを明らかにした.本年度は,昨年度の結果を踏まえて,実験条件などを追加して性能評価を実施し,関連性を明らかにしていく,実験装置は計画にのっとって大気圧非平衡プラズマを脱硫反応場に直接重畳させる装置を作成し,分光計測を用いて現象の把握に努める.また,容量法を用いた材料評価装置も完成に近づいているため,容量法を用いて,脱硫材料と二酸化硫黄,窒素酸化物の吸収メカニズムは反応速度論的に評価定式化を行い,大気圧非平衡プラズマ重畳効果を明確化する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた無基材ハニカムフィルターの製作について,制作予定していた個数を本年度制作せず,研究進捗具合から判断し,単年度実施をやめ,次年度にも同様の材料を使用して検討を行いたいと考えたため,研究費の一部を次年度繰り越しをし、次年度に材料制作費として使用したいと考えたため.
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次年度使用額の使用計画 |
無基材ハニカムフィルター製作費として使用したいと考えている.
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