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2017 年度 実施状況報告書

海産ミミズと土着・随伴微生物群の協同的作用による沿岸底質浄化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K16144
研究機関国立研究開発法人水産研究・教育機構

研究代表者

伊藤 真奈  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 瀬戸内海区水産研究所, 研究員 (60735900)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード海産ミミズ / 土着微生物 / 多環芳香族炭化水素 / 協同的作用
研究実績の概要

本研究では、海産ミミズの添加によって促進される底質中有害化学物質の分解メカニズムを、土着・随伴微生物との相互補完的作用という観点から解明することを目的としている。
平成29年度は、これまでの研究で海産ミミズと土着微生物との協同的な有害化学物質の減衰が確認された底質における微生物群集の変化をより詳細に解析するため、細菌の16SrRNA遺伝子およびPAHs減衰に関与する機能遺伝子(bamA)量をreal-time PCRにより定量した。また、微生物バイオマスの指標として、底質中のATP量を測定した。その結果、底質中の細菌およびbamAの遺伝子数、ATP量は、海産ミミズの添加によって有意な変化は認められなかった。一方、DNAおよびRNAに基づいた底質および海産ミミズに随伴する微生物の群集構造解析を行った結果、RNAに基づく解析では、海産ミミズ添加による菌叢の変化をより鋭敏に検出することができた。海産ミミズ体内の菌叢は、生息底質に依存するものの、底質とは異なりVerrucomicrobia(Verruco-5)に属する細菌群の割合が多くなり、独自の菌叢を形成していた。以上、これまでの結果から、海産ミミズと土着微生物との協同作用による底質の有害化学物質の減衰は、土着微生物バイオマスの増加によるものではなく、海産ミミズ自身による代謝に加え、微生物群集構造の変化あるいは微生物代謝の変化によるものと推察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

海産ミミズと土着微生物との協同作用による底質の有害化学物質の減衰のメカニズムは、海産ミミズ自身による代謝に加え、微生物群集構造の変化あるいは微生物代謝の変化によるもとのと推察された。それを実証するため、底質中での機能遺伝子の変動を解析する必要があると判断し、その予備実験を新たに実施した結果、本試験の基盤を作成することができた。また、本課題における成果の学会発表も行っていることから、研究は順調に実施しているといえる。

今後の研究の推進方策

平成30年度は、異なる温度などの物理化学環境下での浄化試験を実施し、海産ミミズと土着微生物との協同的浄化作用による有害化学物質の分解効率が最大となる至適環境の特定を目指す。また、海産ミミズの添加による菌叢の変化は認められたものの、PAHs減衰との関連性をより明らかにするため、底質の機能遺伝子の変動解析にも着手していきたい。

次年度使用額が生じた理由

物品が当初予定していた金額よりも安く購入できたため、残金が生じた。この費用は、次年度の計画として新たに加えた底質中の遺伝子解析の外注費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University of Silesia(Poland)

    • 国名
      ポーランド
    • 外国機関名
      University of Silesia
  • [学会発表] Marine sediment conservation using benthic organisms2017

    • 著者名/発表者名
      Katsutoshi Ito, Mana Ito, Takeshi Hano, Toshimitsu Onduka, Kazuhiko Mochida, Nobuaki Shono and Ryuhei Nakamura
    • 学会等名
      45th Scientific Symposium of the UJNR Aquaculture Panel
    • 国際学会
  • [学会発表] 海産ミミズによる海洋底質の環境電位変動に伴う微生物群集構造の解析2017

    • 著者名/発表者名
      伊藤 真奈、梅澤 明夫、川市 智史、庄野 暢晃、中村 龍平、伊藤 克敏
    • 学会等名
      環境微生物系学会合同大会2017

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公開日: 2018-12-17  

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