側鎖の溶解度に圧力依存性を有し、周辺圧力に応じて伸長状態が変化ポリマーを粒子表面に吸着および固定化することで、周辺圧力に依存して分散状態が変化する圧力応答性粒子の作製および、圧力応答性粒子の排水処理への応用を目的とした。 本年度は、使用する高分子の分子量と凝集させるのに必要な圧力との関係を調査後、圧力応答性粒子を用いて排水の処理を行い、圧力応答性粒子が排水中微粒子に対して凝集剤として機能するか、凝集処理後に残存した圧力応答性粒子の凝集挙動および、ポリマー脱着の有無について検討を行った。 圧力応答性粒子の作製に用いるポリマーの分子量を変えて実験したところ、使用するポリマーの分子量が小さくなるほど、より低い圧力で分散状態を変化させることが可能となることを見いだした。 実排水への適用実験については、鉱山排水のモデルとしてカオリン粒子のスラリーを用い、スラリーに圧力応答性粒子を添加したときのカオリン粒子の凝集挙動を観察した。また、凝集に使用されずに残存した圧力応答性粒子に対して圧力を印加し、残存粒子が凝集するかを確認するとともに、最終的に得られた清澄水中に含まれる脱着高分子量を測定した。その結果、通常は全ての粒子が沈降するのに12時間を要していた排水が、圧力応答性粒子を添加することで粒子が凝集し,わずか120秒で全ての粒子を沈降、堆積させることができた。さらに、残存した圧力応答性粒子に圧力を印可したところ、粒子は凝集し清澄層を得られた。また、得られた清澄層中にはポリマーは含まれておらず、一連のプロセスにおいて、ポリマーの脱着は起らないことが確認できた。 以上より、調製の容易な圧力応答性粒子の開発に成功し、この粒子は排水処理において凝集剤としての機能を有することを確認した。さらに,一連のプロセスで得られる清澄水には粒子やポリマーは含まれず、ケミカルフリーついても達成したといえる。
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