研究課題/領域番号 |
15K16149
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研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
磯部 友護 埼玉県環境科学国際センター, 資源循環・廃棄物担当, 専門研究員 (50415387)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 埋立地の安定化 / 廃棄物 / カラム試験 |
研究実績の概要 |
本研究では、現在~将来の廃棄物における埋立地内での安定化を把握し、その評価・予測方法を確立することを目的とし、埼玉県内の複数の埋立地において、内部の水質やガス組成、温度などのモニタリングと、比抵抗探査や電磁探査といった物理探査による非破壊モニタリングを行う。本年度は基礎的検討として、埋立地に埋め立てられる廃棄物からの化学物質の溶出特性を把握するためのカラム試験を行った。埼玉県内で稼働中の3つの埋立地(A~C)から、搬入時に採取した廃棄物を用いてカラム試験を行った。塩ビ製のカラム(内径100㎜φ)に充填した廃棄物(充填高さ20㎝)に精製水を通水し、一定時間ごとに採取した流出水中の化学物質濃度の測定を行った。 カラム試験の結果、以下の傾向が確認された。 ・通水後にpHが上昇し、アルカリ性が長期にわたり維持された。また、焼却灰や飛灰固化物を含むB、C埋立地ではより高アルカリ性を示す結果となった。 ・通水初期にECのピークが現れ、その後は急速に減衰した。 ・A埋立地において焼却灰と不燃残さの混合割合によるピーク位置への影響は見られなかったものの、イオン溶出量では焼却灰の混合割合による寄与が見られた。 これらの結果より、焼却灰の混合割合が小さくなりつつある現在~今後の埋立地においては,溶出ポテンシャルは低下していく可能性が示された。しかしながら,イオン類とは異なり有機物(TOC)の溶出量は不燃残さの混合割合による影響が少ないことが確認されており,不燃残さ中の残存有機物の影響も注視していく必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では,埋立地でのモニタリングのためのセンサー類設置とモニタリング開始を平成27年度中に実施する予定であったが,対象としている3箇所の埋立地のうち2箇所において,(1)埋立廃棄物の搬入量の減少が当初の予想以上に進んだため,予定していたモニタリング位置での埋立作業が年度内中に行われなかった,(2)浸出水処理施設に故障が生じ,第4四半期以降,水処理の停止に追い込まれ埋立地内部の水位が異常上昇し調査が実施できなくなった,という状況がそれぞれ発生したため,当該年度のモニタリングを断念せざるを得なくなった。 この問題に対応するため,(1)については急遽,埋立地管理者と協議を行い,既に埋立が終了しているエリアでのモニタリング許可を取得するとともに,新たにモニタリング位置の設定を行い,平成28年度の第1四半期中にモニタリングを開始する見込みとなった。また,(2)については平成27年度末に修理が完了し,平成28年度の第1四半期に水没状況の改善が達成され,第2四半期にモニタリングを開始する見込みとなった。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で述べたとおり,埋立地の運営上の理由により平成27年度に予定していたモニタリングができない状況となったが,平成28年度の第1~第2四半期には開始できるよう調整を行っている。 さらに,当初計画では埋立直後のエリアを対象としていたが,平成27年度に埋立が終了したエリアでもモニタリグを行えるように調整を行った。これにより,平成27,28年度に同種類の埋立廃棄物が埋め立てられた埋立年齢の異なるエリアにおいてモニタリングを同時平行で実施し,埋立廃棄物の安定化状況調査の迅速化を図っていくこととしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査対象としていた埋立地の管理上の理由により,平成27年度の第4四半期に開始を予定していたモニタリングが,平成28年度の第2四半期へとずれ込むこととなった。そのため,モニタリング調査で必要なセンサー類の一部,分析に必要な試薬類の購入時期も平成28年度にずれ込むこととなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初計画において,平成27年度に購入予定であったセンサー類,および試薬類の購入を行う予定である。
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