研究課題/領域番号 |
15K16152
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
河内 香織 近畿大学, 農学部, 講師 (50423984)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 形成過程 / 水理条件 / 底生生物 / 土砂移動 / 河川攪乱 / 堆積有機物 / 流下有機物 / 出水 |
研究実績の概要 |
河川は古くから人間の暮らしと密接にかかわっており、河川環境を理解することは極めて重要な課題である。河川法では当初治水と利水に焦点が当てられていたが、1997年に初めて環境の整備と保全が目的に加えられた。平成18年に多自然川づくりについての指針がまとめられ、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するための河川管理が提言されているが、護岸や堰などの人工構造物の多い河川において有機物の移動や、連続しつつも個々に特徴を持つ生息場の研究は発展途上である。本研究は治水のために河川に人工構造物が設置されることを前提とし、護岸され水路化した河川であっても一部が生物の生息場所として機能することで河川全体の生物多様性が保全されると考え、一河川内における短い区間(生息場)ごとの生物相の把握とかく乱からの回復過程について焦点を当てる。1年目は、人工河川におけるワンドと直線部に着目し、調査区間を設定して調査区間ごとの水理環境と生物相を把握するとともに、その形成過程について考察を試みた。 調査地は大和川本川における、ワンド区間2区間、それに連続する直線区間2区間とした。各区間、流路延長を100mに設定し、5月と10月の計2回調査を行い、以下の項目について計測を行った。①水深②流速③流向分布④河床材料⑤サーバーネットを用いて河床に滞留する有機物の測定、および河床生物の定量調査⑥タモ網を用いた生物の定性調査⑦流下有機物量、無機物量の計測。これらの測定結果から、似たようなワンドであってもその形成過程が異なることで機能が異なることが推察された。 これらの成果について「大和川の直線区間およびワンド区間における平水時の水理特性と生物の対応」応用生態工学会 第19回郡山大会 大会講演要旨集pp54で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大和川本川は出水による水位変動が大きい河川であるため、常に水位情報を確認しながら慎重に調査日を決定した。最初データの取り方を決定するまで苦労したが、研究の進行とともに調査に慣れ、順調にデータを取ることができた。調査の成果は昨年応用生態工学会で発表した。また、追加のデータを加えて解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年から、土砂堆積の推定のためセディメントトラップを試作設置して回収頻度について検討中である。おおよその方向性が固まったので、大和川本川と支川にて今年度は土砂の堆積にも着目して調査を行う。また、出水前後の底生動物の移動について把握するため、トラップを試作中である。支川においてはおおよその調査区間を決定したので、今後は試験的にネットを設置して調査を進める予定である。
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