研究課題/領域番号 |
15K16157
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
布施 正暁 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70415743)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | マテリアルフロー分析 / 貿易統計 / 不整合問題 / 金属組成 / 不確実性 / 鉱石 / スクラップ |
研究実績の概要 |
国連の提供する貿易統計サービス(UN-comtrade)を活用した金属資源の国際貿易モニタリングシステムを構築するため、鉱石・スクラップ貿易量の不確実性を定量評価した。 貿易量の不確実性は経済統計学で知られる貿易統計の不整合問題を指す。貿易統計の不整合問題とは、ある国の貿易統計が報告する輸入量と対応する相手国の貿易統計が報告する輸出量が一致しない問題である。国規模の貿易収支分析を目的とする既存不整合研究は、本研究で求められる特定品目、数量単位、国間取引を対象としていない。 本研究は鉱石・スクラップを対象に貿易統計の不整合問題を定量的に評価した。UN-comtradeから、15金属元素における鉱石・スクラップを対象に2000年から2010年までの各国が報告する国間輸出量、国間輸入量を入手した。輸出量と輸入量の系統誤差と偶然誤差を定義し、輸出量と輸入量の線形回帰モデルから系統・偶然誤差価指標を開発した。貿易統計と系統・偶然誤差評価指標を用いて、15金属元素における鉱石・スクラップ貿易量の不確実性を明らかにした。亜鉛・クロム・タングステンの鉱石貿易量と、鉄・鉛・クロムのスクラップ貿易量に関して低い不確実性が示された。他の金属元素の鉱石・スクラップ貿易量は高い不確実性が示され、その利用に際して注意が必要であることが分かった。 今後は鉱石・スクラップの金属組成に関する不確実性を定量評価する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画どおり、鉱石・スクラップ貿易量に関する不確実性の定量化を終了した。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画どおり、鉱石・スクラップの金属組成に関する不確実性の定量化を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、Global Trade Information(GTI)社から貿易統計データを購入する予定であった。しかし、2015年にGTI社はIHS Global社に買収され、それに伴いサービス内容が変更し、2015年度内で貿易統計データを購入することができなかった。この貿易統計データの未購入費用が次年度使用額である。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額の使用計画として、IHS Global社から貿易統計データの購入を計画している。ただし、現在担当者と交渉中であるが、買収の影響からGTI社の前任者との引き継ぎがうまくっておらず、契約成立に不確実性がある。そこで代替手段として、各国の税関HPまたは紙媒体の政府統計から貿易統計データのダウンロードまたはデータ入力作業を委託することも考えている。
|