2014年・2017年に訪問調査を実施することで得た情報をもとに、使用済みペットボトルの回収を念頭に、スウェーデンのデポジット制度と日本の店頭回収を比較し、日本の店頭回収の今後のあり方を提起した論考を刊行した。そこでは、小売への支援のスキーム、行政収集と店頭回収の棲み分け、達成目標の設定、店頭回収の効率的な活用について提起している。 一方、同じく2014年・2017年に研究代表者が訪問調査を実施することで得た情報をもとに、バルト3国のデポジット制度の起点になっているエストニアのデポジット制度について、2018年6月に、中国・北京で開催された2018 International Conference on Resource Sustainabilityで報告した。そこでは、隣接国との関係に注目して検討し、リサイクル料の増加が製造業者に隣接国からの容器を見分けるインセンティブを与えうること、飲料容器税が生産者に容器回収のインセンティブを与えうることを示している。 また、2017年に訪問した際には時間不足のため十分な情報収集ができなかった北京にあるIncom社ほかを再訪し、北京における自動回収機を活用した使用済み製品の店頭回収について詳細に把握した。そして、北京における店頭回収の仕組みを、日本の店頭回収のそれと比較し、両者の相違点をまとめ、2019年2月にタイ・バンコクで開催されたThe 4th Symposium of International Waste Working Group Asian Regional Branchで報告した。そこでは、中国と日本でデポジット制度・店頭回収の主な運営主体が異なること、自動回収機との競合者が、中国ではインフォーマルセクター、日本では行政収集であり、このことが使用済みペットボトルの回収量に影響していることなどを提示した。
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