本研究の目的は、GLS(貸すことと贈ることのための共同体)グループの実態調査、贈与の社会的意義についての考察、代表的な融資・贈与事業における革新性の検討、日本における社会的金融の実施可能性の検討の4点である。 研究1年目には、1本の雑誌論文、2回の学会発表、1本のその他業績を成果として残した。2年目には、1本の雑誌論文と1回の学会発表を残した。それらの成果をもとに、本研究の最終年度である平成29年度には、著書をまとめることを最優先に研究に取り組んだ。具体的には、平成29年3月末の編集者との打ち合わせを踏まえたうえで、日本の事例を集中的に調べた。また、4月にクラウドファンディング事業を展開しているミュージックセキュリティーズに対して、5月には熊本の一般社団法人ゆずり葉に対してヒアリングを行い、それに基づき著書の執筆を行った。7月までに脱稿し、昨年度当初の予定通り、9月に著書『新・贈与論』を出版することができた。『新・贈与論』には、上記の研究目的4点に対応する内容を記すことができた。そのほか、本研究の最終年度に1本の雑誌論文を発表した。 9月には『新・贈与論』を携えて、お世話になったGLSに報告にうかがうとともに、研究を通じて知り合ったゆずり葉の方々と、日本における社会的金融の実施可能性を探るために追加の調査を行った。また、今後、社会的金融の融資分野のうち有機農業について深めていこうと考えていることもあり、GLSが資金を提供したショルフハイデ(ドイツ)を訪れた。 出版後は、研究成果を内外に知らせるべく、発表や講演を積極的に行った。具体的には、備考欄を参照されたい。
|