研究課題
本研究の目的は、気候変動・エネルギー問題を安全保障の枠組みで捉え直し、気候変動緩和策と気候・エネルギー安全保障の関係を「世界全体を対象とした動学的応用一般均衡(CGE)モデル」を核とした手法により定量評価することである。本研究で構築するCGEモデルを用いることにより、経済・エネルギー・気候変動・気候影響の関係の整合性を確保し、安全保障の分析が可能となる。平成27年度は、最初にエネルギー安全保障を中心にその概念に対する理解を深め、またエネルギー安全保障の評価手法を検討するために、文献サーベイや学会参加を通じて情報収集を行った。この情報収集を通じて、広義および狭義(本研究で特に重要となる範囲)のエネルギー安全保障の概念(特にエネルギー・経済分析の観点)、およびその評価手法について整理した。次に、研究代表者が開発をしたCGEモデルによるエネルギー安全保障の分析、ならびに統計データを用いた同分析を行った。前者のモデル分析については、気候変動問題とエネルギー安全保障の関係に関するものであり、気候変動対策をすることで、エネルギー安全保障が改善することが明らかとなった。後者では、日本を対象として過去の安全保障環境がどのように変化してきたかという点を明らかにすると同時に、研究協力者とともにEUを対象とした分析に着手した。今後は、CGEモデルの開発を進め、エネルギー安全保障の分析を深化させると同時に、気候安全保障の概念を分析していく。
2: おおむね順調に進展している
申請書に記載した平成27年度の計画は、エネルギー安全保障の概念整理とCGEモデルによる第一段階の安全保障分析である。「研究実績の概要」に示したとおり、両研究ともに概ね完了している。また、今後の研究で必要となる統計データの整備に着手できている。
平成28年度は、CGEモデルを改良し、より適切な安全保障指標の検討と同指標を用いた分析を進める。同時に、気候安全保障のサーベイを通じて概念や評価指標の整理、モデルでの分析手法について検討する。
平成28年度は、当初予定をしていた研究打ち合わせや一部データ購入を学内の予算によりまかなうことができた。また、一部の学会が学内用務により参加できなくなった。そのため、当初の想定より支出額が小さくなった。
平成29年度は当初の予定よりも長期で海外での共同研究を行う予定にしている。また、追加での学会発表を予定している。繰り越した金額については、これらの予算として使用する予定である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (3件) 備考 (2件)
PLoS ONE
巻: 10(12) ページ: e0144884
10.1371/journal.pone.0144884
http://research.jimu.nagasaki-u.ac.jp/IST?ISTActId=FINDJPDetail&ISTKidoKbn=&ISTErrorChkKbn=&ISTFormSetKbn=&ISTTokenChkKbn=&userId=100001216
http://www.matsumoto-lab.net/