将来の気候変動による飢餓リスクへの影響は社会経済状況により大きく異なった。すなわち、分断された社会を表すシナリオでは飢餓リスクは現在より増加しより不確実なものとなるのに対し、なりゆきシナリオではリスクは継続的に減少し、不確実性は小さくなった。このような大きな不確実性のもとで対策を決めていくことが、政策決定者の課題となるだろう。また、100年に一度の極端現象下での必要な備蓄量を現在の備蓄と比較したところ、現在の世界の備蓄量は十分だが、影響を受ける地域では十分に備蓄されていなかった。これは、極端現象の発生時における食糧支援やそのための協力体制が飢餓リスクの軽減には重要であることを示唆している。
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