研究課題/領域番号 |
15K16168
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
杉原 太郎 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50401948)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ユーザスタディ / ヒューマンインタフェース / 技術導入 / 支援技術 / 課題発見型研究 |
研究実績の概要 |
宮崎大学医学部附属病院の調査においては,宮崎大学医学部内で倫理審査を受けた後調査を開始した.電子クリニカルパスの作成経験者と未経験者とで,使用に伴う意識が異なるかを質問紙法により調査した.得られた結果を共分散構造分析により分析したところ,作成経験の有無が看護コミュニケーション意識に作用する可能性が示唆された.この結果を深く考究するために,面接法による追跡調査を実施した.面接は,電子クリニカルパスを導入初期から多用してきた診療科の看護師,最近になって使用頻度が高まった診療科の看護師,出向により電子クリニカルパスが一切使用できなくなった看護師に対して行った.インタビュー結果は分析中である. VR/MVFシステムに対しては,岡山大学病院のペインクリニックに来院している慢性疼痛症の患者に対して,事象見本法およびビデオ観察法による調査を計画し,実施した.実施前に岡山大学医学部において倫理審査を受けた.診察時のコミュニケーションを観察対象とし,患者9名と,医師3名,理学療法士1名,作業療法士1名の診察の様子を記録した.観察時に得られたデータは,分析中である. 介護施設に対する情報システム導入については,施設の経営者と協議した結果,思い出ビデオシステムから申送り支援システムに変更された.介護職員および経営者,施設利用者の家族に対する説明を実施するとともに,倫理審査のための書類を提出した.調査は,平成28年度以降に実施することとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度については,3箇所での調査を実施すること,そのために倫理審査を受けることを計画していた.倫理審査については,3箇所の全てで実施完了,あるいは申請完了の状態になったことから,計画通りと考える. 調査については,宮崎大学医学部附属病院については,面接調査に加えて質問紙調査を実施できた.また,分析は終えていないものの,追跡調査において面接データも収集できており,計画以上に進行したと考えられる. 岡山大学病院の調査については,VR/MVFそのものの導入調査は叶わなかったものの,医療スタッフと患者のコミュニケーション場を直接観察できた.ワークプレイス分析の観点からは,計画時の想定よりリッチなデータが収集できたと考える. 介護施設の調査は,計画より遅れている.これは施設の要望を改めて調査した結果,システム変更の必要性が生じたためである. 計画していた時点での想定から大きく進んだ調査も,遅れているものもあることから,トータルで考えると概ね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針において申請時と大きく変更する点はない.宮崎大学医学部附属病院,岡山大学病院,介護施設の3箇所の調査を継続するとともに,すでに収集を終えたデータの分析を急ぐ. 対象となるシステムについてであるが,宮崎大学医学部附属病院については当初の予定通り電子クリニカルパスとする.介護施設については,今年度の変更にもとづき申送り支援システムとする.岡山大学病院については,VR/MVFそのものではなく,これに追加予定であるリハビリテーションの意欲継続の支援機能に着目する.今年度の調査および担当医師との議論の結果から,リハビリテーション支援システム利用のためには,患者のモチベーションが維持される必要性が非常に高いことが明らかになったためである.現在, persuasive technology の理論を援用したモチベーション維持の支援機能を実装中である.来年度以降は,この機能を有したVR/MVFシステムを対象とする.
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