研究実績の概要 |
本研究では、長期の習慣的運動モデルマウスを用いて、習慣的運動と腸内フローラの関わりを明らかにし、さらにヒトのライフスタイルを考慮した運動のパターン化による腸内フローラの変動について比較・検討することを目的とした。 運動は自発運動とし、6ヶ月(24週)の期間、運動パターンを変え、長期習慣的運動(Ex)群、12週目から運動装置を外した運動停止(ExS)群、12週目から回転車を3日に一回とめた(ExA)群、同様に12週目から運動装置を装着した(SeX)群の4群とし、期間中通常ケージにて飼育した非運動(Se)群をコントロールとしてq R-T PCR法を用い腸内細菌叢の比較を行った。 その結果、体重増加率はSe群に比べ全運動群で有意に低値を示したが、ExA<Ex<SeX<ExSの順で増加率が上昇した。次に体重当たりの白色脂肪細胞量はSe群に対してEx群およびExA群が有意に低値を示し、赤筋重量はSe群に対し全運動群で増加し、ExS<Ex<SeX<ExAの順で肥大していた。これらの要因から、Ex群のように長期間持続的に運動を行うよりも、3日に1回等のリズムを持った運動負荷がより筋肉増加に効果的であると考えられた。SeX群で赤筋量が増加した理由は、運動開始時には体重が増加しており、この体重量が負荷に影響したと考えられた。 次に腸内細菌叢は、主要4門の相対存在比を求めた結果、Actinobacteria門が24週でSe群に対して全運動群で有意に低値を示した。更に、赤筋量に有意差が見られたExA群で18,24週でFirmicutes門,Bacteroidetes門の優勢菌が逆転し、SeX群も24週で同様の結果が得られた。これらのことから優勢菌叢が逆転する背景には、運動の負荷量が関わっている可能性が示唆された。本研究課題終了後は科,属レベルでも検討し、どの運動パターンが健康により効果的か探る。
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