当該年度の研究活動では、家事の遂行とその変化と夫婦間の相互作用との関係を検討する質問紙調査を実施した。家事の遂行形態、家事の遂行量と夫婦間の相互作用の関係、夫婦間の相互作用と家事遂行の満足感、公平感覚との関係、夫婦間の働きかけと家事遂行の変化との関係等、得られた結果の整理と検討を行った。結果の一部を例として挙げると、体調不良によって家事を遂行することができなくなる等の事態の際に、夫婦間の働きかけが行われている事例が見られた。また、インタビュー調査によって得られていた結果の整理と検討を行った。具体的には、家事の変化と夫婦の相互作用の形の整理と検討を行った。この整理と検討からは、家事が変化するに至るまでの過程についての詳細な理解が得られた。さらに、その変化の形ごとの特徴も見出された。これらの成果の一部は、国際心理科学会議2019(International Convention of Psychological Science 2019)の学会等にて報告を行った。 本研究は、家事の遂行の維持と変化の過程を、夫婦間の相互作用との関係に焦点を当てることによって、明らかにしようとしたものである。結果として、家事遂行に変化が起こるときの状況と過程と、そのなかでの夫婦間の相互作用の位置づけを、実施してきた調査結果をもとに描くことができた。これらの結果は、これまでに蓄積されてきた家事遂行量の規定因等への理解をより詳細にするものであり、家事遂行の形の変化に考えをめぐらせている人々にとって有用な知見になると考えている。
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