住宅ストックの賃貸活用の視点から大阪長屋の流通を促す居住モデルの構築と事例集の公開を目的として研究を遂行した。現在、良質な住宅ストックの形成とストックを円滑に流通させるための住宅市場の整備が求められている。そこで、地域固有の住宅ストックである大阪長屋に見られる地域や人がつながった新たな居住スタイルに着目した。大阪長屋は歴史や文化を担う建物であり、かつ、現代の魅力的な暮らしの場である。伝統を引き継ぎながら、新しい暮らしの場となっている大阪長屋について、事例調査を通して類型化することで、伝統的な住宅ストックを新たな「つながりを育む居住モデル」として構築し、リノベーションされた大阪長屋の賃貸住居としての可能性を明らかにするとともに、その流通を促す事例集アーカイブ「大阪長屋アーカイブス」を構築した。 また、初年度には、リノベーションまちづくり学会in大阪(2015/11/28-29)を大阪で開催し、全国のリノベーション研究者・実践者と交流した。あるいは、台湾をはじめとする海外のリノベーション事例との交流を行い、建築ストックに関する比較を行った。具体的には、台湾(嘉義:南華大学、長屋リノベーション)と韓国(釜山:東亜大学、牛舎リノベーション)のリノベーション事例との比較・交流を行った。 さらに、これまで蓄積してきた大阪長屋の先進的なリノベーションモデルの成果をまとめるとともに、リノベーションに関わる学生や実践者の取り組みに資する書籍として「リノベーションの教科書」をまとめた。
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