研究実績の概要 |
本年度は高知大学医学部倫理委員会の承認を受け、成人健常ボランティアを対象としたショウガ配合口腔内崩壊(OD)錠の臨床試験を実施した。官能試験は20名に対して実施した。官能試験の結果、苦さ、ざらつき、粉っぽさについてはプラセボと1,3,5%ショウガ配合OD錠(ショウガ粉末をそれぞれ2,6,10mg含有)との間に差は認められなかった。刺激性については、プラセボと1,3,5%ショウガ配合OD錠との間に有意な差が認められ、ショウガの配合量が多くなるほど刺激が高くなり、配合量の少ない1%ショウガ含有OD錠が好まれる結果となった。 唾液中サブスタンスP(SP)を指標とした嚥下機能評価試験(単回試験)は、20名(50代)を対象に実施した。ただし、嚥下内視鏡検査は16名に実施した。その結果、唾液中SP量が1%ショウガ配合OD錠については服用15,30,60分後においてプラセボに比べ有意に高値を示した。しかしながら他の錠剤では有意な差は認められなかった。さらに、嚥下内視鏡検査においては、1%ショウガ配合OD錠服用により、内視鏡所見のスコア評価の改善が認められた。このことより、1%ショウガ配合OD錠は嚥下機能を改善することが示唆された。また、唾液中SP量が嚥下障害のバイオマーカーになりうることが示唆された。 長期投与試験は、12名(50歳代)を対象に実施した。長期投与試験の結果、ショウガ配合OD錠服用開始前と服用開始7日後、14日後のショウガ配合OD錠服用前において唾液中SP量に差は認められなかった。また、服用開始7日後、14日後においても1%ショウガ配合OD錠服用により、唾液中SP量がプラセボく比べ有意に高値を示した。また、服用期間中、特に有害事象と思われる自覚症状はすべての参加者で認められなかった。このことより、1%ショウガ配合OD錠の長期投与による安全性と有効性が確認された。
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