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2016 年度 実施状況報告書

ショウガを利用した嚥下反射改善能を有する口腔内崩壊錠の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K16189
研究機関高知大学

研究代表者

阿部 譲朗  高知大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (00717332)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード嚥下機能改善剤
研究実績の概要

前年度の実施した健常成人(20-50歳)を対象としたショウガ配合口腔内崩壊(OD)錠の臨床試験の結果、ショウガ配合OD錠の健常成人に対する嚥下機能改善効果と安全性が確認されたため、本年度は加齢により嚥下機能が低下している高齢者を対象にショウガ配合OD錠の単回投与による嚥下機能改善効果の評価に関する臨床試験(クロスオーバー試験)を実施した。評価項目は、ショウガ配合OD錠服用前及び服用後15分後の唾液中サブスタンスP(SP)量、臨床評価に用いられる反復唾液嚥下テスト、水飲みテスト(窪田式)、嚥下内視鏡検査とした。18名の被験者(60-90歳)は唾液中SP量の測定を実施し、そのうち10名が反復唾液嚥下テスト、水飲みテスト(窪田式)、嚥下内視鏡検査を実施した。
臨床試験の結果、ショウガ配合OD錠は服用前に比べ、服用15分後が有意に唾液中SP量が増加した。さらに、ショウガ配合OD錠はプラセボ錠に比べ有意に服用後の唾液中SP量が高値であった。また反復唾液嚥下テスト及び水飲みテストにおいて、ショウガ配合OD錠およびプラセボ錠服用による有意な差は認められなかった。しかしながら、嚥下内視鏡検査において、ショウガ配合OD錠はプラセボ錠に比べ有意に服用後の内視鏡スコアが改善した。これらのことより、ショウガ配合OD錠は口腔局所のTRPV1受容体を刺激することにより、加齢に伴う嚥下機能の低下を改善することが示唆された。また、前年度に実施した健常成人(20-59歳)を対象とした臨床試験と今年度に実施した臨床試験の結果より、年齢と唾液中SP量には負の相関性が認められ、加齢に伴う嚥下機能の評価に対して、唾液中SP量は有用なバイオマーカーとなることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高齢者ボランティアを対象とした臨床試験の参加者数が予定に達していないが、これまでの結果をもとに論文投稿を行った。
今後も臨床試験を継続し、症例数を増やす予定である。

今後の研究の推進方策

高齢者ボランティアを対象とした臨床試験の参加者数が予定に達しておらず、募集期間を延長し、実施する。
さらに健常成人ボランティアを対象とした長期投与試験(14日間)を実施する。募集人数は100名とし、1日2回(朝食前及び夕食前)にショウガ配合OD錠を服用し、試験開始前と試験実施後に嚥下スクリーニングツールを用いて評価する。

次年度使用額が生じた理由

臨床試験の募集人数に達しなかったことから、臨床試験にかかる費用の一部が余剰金となった。

次年度使用額の使用計画

引き続き、加齢により嚥下機能が低下している高齢者を対象とした臨床試験の参加者を募集し、臨床試験を継続する。
また、嚥下スクリーニングツールを用い、20歳以上の健常成人を対象した大規模なショウガ配合OD錠を長期投与(14日間)試験を実施する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Ginger orally disintegrating tablets to improve swallowing in older people2016

    • 著者名/発表者名
      Hirata A, Funato H, Nakai M, Iizuka M, Abe N, Yagi Y, Shiraishi H, Jobu K, Yokota J, Hirose K, Hyodo M, Miyamura M.
    • 雑誌名

      Journal of Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 39 ページ: 1107-1111

    • DOI

      http://doi.org/10.1248/bpb.b15-01045

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 口腔局所TRPV1刺激によるZingiber officinaleの嚥下機能改善効果2017

    • 著者名/発表者名
      平田歩, 石田智滉, 石田七生, 飯塚美知郎, 阿部譲朗, 八木祐助, 白石久, 常風興平, 横田淳子, 弘瀬かほり, 兵頭政光, 吉岡三郎, 宮村充彦
    • 学会等名
      日本薬学会第137年会
    • 発表場所
      仙台国際センター・東北大学(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2017-03-24 – 2017-03-27

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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