研究課題/領域番号 |
15K16193
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
辻 美智子 名古屋女子大学, 家政学部, 講師 (50706819)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大豆 / 発酵 / パン / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
発芽大豆粉を主原料としたパンを創製し、その発酵過程におけるパン生地およびパンのレオロジー特性を明らかにすることを目的とした。本年度は発芽大豆粉の紛体特性を評価し、発芽大豆粉パンの最適配合割合を検討し、その生地特性を評価した。 結果、発芽大豆粉はたんぱく質41%、脂質22%、糖質13%を含有し、平均粒径は36.8μmであった。発芽大豆粉パンの原材料は、発芽大豆粉、グラニュー糖、塩、酵母、水を用いた。材料の配合割合を検討するために、加水量を130~170%の5段階に設定しパンの特性値を調べた。加水量が多くなるにつれてパンの比容積は大きくなり、加水量160%時の比容積が最大となったため最適加水量とした。また、破断特性値の初期弾性率、テクスチャー特性のかたさは、加水量が増えるほど減少し、やわらかくなった。最適配合割合にて調製したパン生地のpHは、混捏直後はpH6であり発酵時間とともに緩やかに低下した。パン生地の動的粘弾性を検討するために周波数依存性を測定したところ、貯蔵弾性率、損失弾性率は周波数が低周波から高周波になるにしたがって増加したが、損失正接は減少した。発芽大豆粉パンの生地は、粘性に比べて弾性の寄与割合が高いことが明らかとなった。また、パンの膨化を図るために食由来のBacillus subtilisを添加したところ、酵母のみで発酵させたパンよりもやわらかいパンを創製できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パンの主原料である発芽大豆粉の粉体特性では、成分を分析し、粒度分布を明らかにした。パンの材料および発酵微生物の選定を行い、パンの最適配合割合を加水量別に検討し、比容積、破断特性、テクスチャー特性の観点から評価した。最適配合割合のパン生地についてはpH、動的粘弾性によって特性を評価した。
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今後の研究の推進方策 |
パンの発酵過程における生地中の大豆たんぱく質の挙動を明らかにする。創製したパンについては、比容積、破断特性、テクスチャー特性、色度、老化特性について調べ、嗜好性は官能評価を行う。また、パンの保存性についても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属先の変更に伴い、購入予定の設備備品内容に変更が生じたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
パンの特性を評価するための水分計、消耗品として原材料、ガラス器具、試薬を必要とする。また、成果を国際学会にて発表するために、海外出張費を必要とする。
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