【目的】発芽大豆粉を主原料としたパンを創製し、その発酵過程におけるパン生地およびパンのレオロジー特性を明らかにすることを目的とした。最終年度は発芽大豆粉パンの発酵過程における生地特性を検討し、創製したパンのレオロジー特性や嗜好性、保存性について評価した。 【方法】発芽大豆粉パンは、発芽大豆粉、グラニュー糖、塩、水、酵母を基本配合とし、酵母のみにて発酵させたパンをコントロールパンとした。基本配合に納豆菌を添加したパンを納豆菌添加パンとした。発酵時間は38℃、RH90%の条件下で0~4時間発酵させた。生地特性では動的粘弾性、粘度、パンの特性では比容積、破断特性、テクスチャー特性、色度を経時的に測定した。嗜好性を調べるために、コントロールと納豆菌添加パンについて官能評価を実施した。保存性の検討ではパンを4℃、RH65%の条件下で0~3日間保存した。 【結果】パン生地の貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接は、納豆菌を添加することによってコントロールパンよりも低くなった。パンの比容積の変化はコントロール、納豆菌添加パンともに発酵1時間で最大となった。パンの硬さは発酵3時間まで緩やかに低くなり、その後は変わらなかった。パンの付着性では、コントロールパンは発酵3時間後まで低下したが、納豆菌添加パンでは発酵1時間後に低下し、その後の変化はみられなかった。官能評価においては、発酵0時間のコントロールパンを基準とし、発酵1時間後の納豆菌添加パンを評価したところねばりがあると評価され、さらに発酵2時間後のコントロールパン、納豆菌添加パンは甘みが弱いと評価された。保存性では保存3日目において納豆菌添加パンはコントロールパンよりもやわらかさを保持していた。X線回折像を検討したところ、結晶性ピークは現れず、保存日数が経っても硬くなりにくいパンであることが示唆された。
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