研究課題/領域番号 |
15K16204
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
針谷 夏代 山梨大学, 総合研究部, 助教 (80732784)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 異所性脂肪細胞 / インスリン抵抗性 / 動脈硬化 / エピゲノム因子 / 水溶性食物繊維 / 食後高血糖 |
研究実績の概要 |
エピゲノム因子Brd4と異所性脂肪細胞の肥大化との関連および水溶性食物繊維による食後高血糖の抑制と異所性脂肪細胞の肥大化との関連を明らかにすることを目的とした研究を行なった。 1 エピゲノム因子Brd4と異所性脂肪細胞の肥大化との関連についての研究 Brd4ヘテロ欠損マウスに55%フルクトース食を、Brd4活性の阻害剤JQ-1を添加した55%フルクトース食を野生型マウスへ与えた。JQ-1の添加量は0.00095%(低添加群)と0.0038%(高添加群)の2群を設けた。対照群にはAIN93Gを与えた。マウスは搬入から1週間はMF標準食を与えて馴化し、体重測定および1ヶ月に一度の血糖測定で耐糖能異常の発症をモニタリングした。飼育開始から5ヶ月ごろに血糖上昇が見られたため経口グルコース負荷試験を行ったところ、55%フルクトース食群は軽度の耐糖能異常呈した。このため屠殺を行い解析サンプルを得て、一部は組織解析用の病理標本を作製した。 2 水溶性食物繊維による食後高血糖の抑制と異所性脂肪細胞の肥大化との関連についての研究 2型糖尿病自然発症OLETFラットおよびLETO対照ラットを耐糖能異常が発症するまでMF標準食を与えて7ヶ月間飼育した。経口グルコース負荷試験を行った上で血糖値および体重に差がないよう群分けし、低メトキシルペクチンを3%、7%、10%含む高でんぷん食を与えた。対照群にはペクチンを含まない高でんぷん食を与えた。特別飼料開始から3ヶ月後に経口グルコース負荷試験を行ったところ、ペクチンを7%および10%含む飼料を与えた群において耐糖能の改善傾向であることが確認できたため屠殺し解析サンプルを得た。一部は組織解析用の病理標本を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験動物の食餌による耐糖能異常の発症が想定よりも時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に得た動物サンプルの解析を行うとともに、今年度予定しているベータカロテンによる酸化ストレス軽減と異所性脂肪細胞を介した動脈硬化およびインスリン抵抗性に関する研究に着手する。 1 昨年度に得た動物サンプルの解析 まず血液、肝臓を解析して病態の詳細を把握し、続いて腓腹筋および大動脈を用いて異所性脂肪細胞の肥大化やその性質、血管内皮細胞のインスリン感受性を調べる。さらに、インスリン感受性遺伝子の発現とBrd4の関連をクロマチン免疫沈降法で調べる。水溶性食物繊維ペクチンの作用を明らかにするため、小腸、盲腸、結腸のバリア機能および糞便中の脂質や胆汁酸含有量を測定する。これらによって異所性脂肪細胞の肥大化と代謝異常の関連を明らかにする。 2 ベータカロテンによる酸化ストレス軽減と異所性脂肪細胞を介した動脈硬化およびインスリン抵抗性に関する研究 本研究では小腸におけるベータカロテン開裂酵素の活性がヒトと似ているスナネズミを用いる。スナネズミにベータカロテンを含むペースト状飼料を単回与えて血中へのベータカロテン移行量を測定する。その上でベータカロテンおよび脂肪を含む飼料を与え、対照群において耐糖能異常を発症したら屠殺して肝臓、脂肪組織、腓腹筋、大動脈、血液を採取し、各臓器におけるインスリンシグナル、レドックス関連因子の発現状況を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物による病態発症に時間がかかったため、予定していた実験を延期した。このため、これにかかる費用を次年度に持ち越した。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度計画していた研究に20万円使用した上で、今年度予定している研究に85万円使用予定である。さらに、来年度予定している研究を前倒しして開始し、これに20万円をあてる。情報収集および研究成果の発表のために10万円を使用予定である。
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