研究課題
本研究では、TRPA1(Transient Receptor Potential Ankyrin 1)受容体と食品成分の相互作用を免疫化学・分析化学的に明らかにすることで、受容体の機能性発現機構を分子レベルで解明することを目的としている。TRP受容体は、活性化するとエネルギー代謝亢進、不活性化すると鎮痛効果が期待される機能性イオンチャネルである。TRPA1受容体による食品成分受容機構の理解は、受容体を制御する上で重要な知見になると考えられる。本年度は、(1)ヒト TRPA1 受容体を発現させたHEK293T細胞を用いたカルシウムイメージングによりTRPA1受容体を活性化するフラボノイド類を確認した。その結果、ケンフェロールやミリセチンなど数種類の新規TRPA1受容体アゴニストを見出した。また、代表的なフラボノイドであるケルセチンの配糖体および代謝物、ダイゼインの代謝物を用いてTRPA1受容体との相互作用を確認したところ、メチル化されたケルセチンおよびダイゼイン代謝物であるエクオールがTRPA1受容体を活性化することが明らかとなった。(2)抗フラボノイド抗体を作製するため、ジヒドロキシフェニル酢酸とタンパク質をカルボジイミド法を用いて結合させ抗原を作製した。得られた抗原をBalb/cマウスの腹腔内に免疫後、細胞融合によりハイブリドーマを作製し、スクリーニングすることで新規モノクローナル抗体を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、フラボノイド類に対する抗体の作製を試み、新規モノクローナル抗体の作製に成功している。
得られた抗体の特異性を解析するとともに、リガンド受容機構の解析を行う。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 80 ページ: 949-954
10.1080/09168451.2015.1132148