研究課題
本研究では、TRPA1受容体と食品成分の相互作用を免疫化学・分析化学的に明らかにすることで、受容体の機能性発現機構を分子レベルで解明することを目的としている。TRP受容体は、活性化するとエネルギー代謝亢進、不活性化すると鎮痛効果が期待される機能性イオンチャネルである。食品成分による生理機能発現は、食品成分と受容体との分子間相互作用により惹起されると考えられることから、TRPA1受容体による食品成分受容機構の理解は、受容体を制御する上で重要な知見になると考えられる。本年度は、(1)TRPA1の既知アゴニストであるイソチオシアネートを培養細胞に処理し、抗イソチオシアネート抗体を用いて相互作用分子の確認を行った。その結果、TRPA1と思われるバンドに加え、いくつかのイソチオシアネート相互作用分子を検出することができた。そこで、電気泳動後のタンパク質バンドを切り出し、トリプシンによるゲル内消化後、MALDI-TOF/MS分析を行った。データベース検索により分子の同定を試みたところ、既知のイソチオシアネートと相互作用する生体分子に加え、新規分子の存在が示唆された。(2)前年度に得られたモノクローナル抗体の特異性解析をELISA法を用いて行った。その結果、一部のフェノール性化合物を認識することが示唆された。そこで、ケルセチン代謝物であるジヒドロキシフェニル酢酸を培養細胞に処理し、イソチオシアネート同様、相互作用分子の探索を行った。しかしながら、得られた抗体では相互作用分子を検出することができなかった。一方で、ABC法を用いた検討ではいくつかの陽性バンドを検出することができた。
すべて 2016
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Biochem. Biophys. Rep.
巻: 7 ページ: 240-245
10.1016/j.bbrep.2016.06.020