研究課題
1)アミノ酸血中レベルと褐色脂肪・体脂肪健常成人男性84名を対象に、身体計測(BMI、体脂肪率、内臓脂肪面積)とFDG-PET/CTによる褐色脂肪活性評価を行い、同時に血中アミノ酸レベルを網羅的に測定した。その後、16名を対象に、2時間の寒冷曝露前後で採血を行い、血中アミノ酸レベルの変動と褐色脂肪活性の関係を解析した。BMI、体脂肪率、体脂肪量、除脂肪体重、内臓脂肪面積について、中央値を境に2群に分け血中アミノ酸レベルを比較したところ、内臓脂肪面積高値群でBCAAが有意に高いことが確認された。しかし、褐色脂肪の高活性群と低活性群の間には有意な差は認められなかった。次に、2時間の寒冷刺激を行ったところ、高活性群でのみBCAAレベルが有意に低下した。この時、他のアミノ酸やグルコースのレベルは変化しなかった。ヒト褐色脂肪を活性化すると血中BCAAレベルが低下することが発見された、すなわちBCAAが褐色脂肪で活発に代謝利用される可能性が示唆された。2)アミノ酸強化食品摂取による褐色脂肪活性化予備的実験として、これまで蓄積していた被験者の血中アミノ酸濃度を測定したところ、肥満者では分岐鎖アミノ酸が高いことが確認され、更に褐色脂肪活性の高い被験者ではアルギニン濃度が高い傾向があったことから、褐色脂肪との関連が顕著に現れたアミノ酸を強化した食品をFDG-PET/CT検査の評価で低活性者となった者を対象として摂取させ、エネルギー消費を測定し、褐色脂肪活性との関係を解析する予定であった。しかし、被験者を増やして血中アミノ酸濃度を測定した結果、肥満者で分岐鎖アミノ酸が高いことは確認されたが、アルギニン濃度は褐色脂肪活性が高い者と低い者の差はなかった。したがって、アミノ酸強化食品を摂取する実験は中止とした。
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